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「5歳児健診」普及へ、来年度から費用補助…28年度までに実施率100%目指す

こども家庭庁は来年度から、発達障害の可能性を見極めるのに有効な「5歳児健診」の普及に乗り出す。早期に障害がある子どもを支援し、症状の改善につなげるのが狙い。健診に必要な医師らを確保する費用や研修費を自治体に補助し、14%にとどまる実施率を2028年度までに100%にすることを目指す。

 母子保健法は、1歳半と3歳児の健診を自治体に義務付けているが、5歳児健診は任意となっており、22年度の実施率は14・1%。多くの子どもは3歳児健診後、小学校入学前に受ける「就学時健診」まで、約3年の空白期間がある。

 文部科学省によると、22年度に自閉症などの発達障害があって特別支援学級に通う児童は、約13万人に上った。就学時健診を機に発達障害が判明しても、進路選びや学校側の支援体制の構築に時間が足りないという課題があった。

 5歳になると社会性が高まり、発達障害が認知されやすくなる。5歳児健診を実施している大分県竹田市で行われた研究では、自己表現や集団行動が苦手だった発達障害の子どもの多くが、支援を受けた結果、通常学級で過ごした。

 全国的な普及に向け、こども家庭庁が健診を行っていない自治体に聞き取りをしたところ、「医師が確保できない」「発達障害児の支援体制の整備が難しい」といった声が寄せられた。

 このため、同庁は来年度から医師の派遣に必要な費用のほか、発達障害児をサポートする保健師、心理士向けの研修費を補助する。5歳児健診を行う自治体への補助額についても、1人あたり3000円から5000円に引き上げる。

 自治体には発達障害と判明した場合、子どもが在籍する保育所などで個別の支援計画を作るよう要請。円滑な学習や集団生活につなげるため、入学先の小学校にも伝えるよう求める。総務省の人口推計では、23年10月1日現在の5歳児は約91万5000人だった。

体が硬いと死亡リスク高い 「医療新世紀」

関節が動きにくく体が硬い人は、柔軟な人より死亡リスクが高いとの研究結果を、ブラジルなどの国際チームがスポーツ医学専門誌に発表した。

 46~65歳の男女約3100人に、膝や肩など7関節の可動域の広さをみる計20種類の動作をしてもらい、柔軟性を点数化した。男女別に点数の高さで3群に分けた上で、平均13年近く追跡した。

 その結果、男女とも点数が低く体が硬い群は、点数が高く柔軟な群に比べ死亡リスクが高く、女性は4・78倍、男性は1・87倍だった。

 今回柔軟性を評価したのは、特別な運動などをする前だったため、チームは「訓練で体の柔軟性を高めると長生きできるかどうかの研究が必要だ」としている。

第11回「やぶ医者大賞」が決まる 受賞の医師「あこがれだった」

第11回やぶ医者大賞」に島根県浜田市の佐藤優子さん(44)と、山口市の中嶋裕さん(48)の両医師が選ばれ、16日、兵庫県養父市で表彰式があった。

 なぜ、下手な医者の代名詞となったかというと、「自分は養父の名医の弟子だ」と評判を悪用する医者が続出したからとされている。

 大賞は、若手医師の育成や医療過疎地域の医師確保、地域医療の発展に寄与することを目的に、過疎地の病院、診療所に5年以上勤務する50歳以下の医師、歯科医師から選ぶ。今年は全国から9人の応募があった。

 佐藤さんは、浜田市国民健康保険波佐(はざ)診療所長として、地域の健康課題である「アルコール」「脳卒中」の予防をテーマに、関係機関や医学生を巻き込んで啓蒙(けいもう)活動を実施していることなどが評価された。

 佐藤さんは「普通の医師である私が、へき地医療を学べる教育と仕組みのお陰で、へき地医療を担えるようになりました」と語った。

 中嶋さんは、山口市徳地診療所長として無医地区で月2回、医療機器を搭載した車「医療MaaS」による遠隔診療を導入。地区でみとりを支援したことなどが評価された。

 中嶋さんは「あこがれだったやぶ医者大賞を受賞できて光栄です。地域で暮らす人がハッピーになれるようにしたい」と喜びを語った。

 現在では下手な医者のことを「藪(やぶ)医者」というが、その語源が江戸時代に活躍したとされる「養父にいた名医」であることにちなみ、市が大賞を2014年に創設した。

島根県における高齢者の口腔不健康状態が早期介護認定や死亡の発生と関連 ”

島根大学、島根県歯科医師会、国立保健医療科学院の共同研究チームは、島根県内の高齢者
における口腔の不健康状態が早期の介護認定や死亡の発生と関連することを学術誌 The Lancet
Healthy Longevity に発表しました。
日本では、世界的にも先進的な取組として、後期高齢者(75 歳以上の高齢者)を対象に歯科
口腔健康診査を推奨しています。しかし、歯科口腔健康診査による診断結果から、様々な口腔
指標と介護認定や死亡との関連を調べたエビデンスは少ないのが現状です。
そこで、島根県において島根県後期高齢者医療広域連合が島根県歯科医師会と共同して実施
している平成 28 年(2016 年)以降の後期高齢者歯科口腔健康診査の歯科口腔検査データを用
いて介護認定(要介護度 2 以上)または死亡の発生との関係を分析しました。
その結果、口腔指標の不健康状態(歯の数の少なさ、主観的および客観的な咀嚼能力の低
さ、歯周組織の不良、機能的嚥下障害、舌の可動性の低さ、構音障害、口腔の不衛生、未処置
歯、上顎または下顎の義歯不適合)はそれぞれ早期の介護認定や死亡の発生と関連することが
明らかとなりました。
特に、グミを 15 秒間咀嚼して分割数を調べた客観的な咀嚼能力は、上記の口腔指標のなかで
も最も介護認定や死亡の発生に対する影響が大きいことが示されました。島根県における後期
高齢者歯科口腔健康診査が、後期高齢者の健康寿命を予測する有用な手段である可能性が示唆
されました。これにより、定期的に歯科口腔健康診査を受け、口腔の不健康状態を早期に発
見・対策と治療することの重要性が示されました。また、治療を通じて、客観的によく噛める
状態にあるのかを確認することも大切です

「自由開業・自由標榜の見直し」など主張、財務省

財務省は11月13日の財政制度等審議会財政制度分科会(分科会長:十倉雅和・住友化学代表取締役会長)に提出した資料で、「医師数適正化および偏在対策」として「自由開業・自由標榜の見直し」「医学部定員の適正化」「外来医師多数区域での保険医新規参入の制限」といった規制的手法の他、ある地域で特定の診療科での医療サービスが過剰と判断される場合に「特定過剰サービス」として減算対象とすることなどを主張した(資料は同省のホームページ)。

口唇口蓋裂:唇や鼻、耳もなく生まれた私 「生きてて良かった」伝える 大阪の小林栄美香さん 悩みを共有、見つけた光

 生まれたときは、唇も鼻も耳もなかった。先天性異常の一つである「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」の女性が、20回以上にわたる手術を乗り越え、当事者や親のサポートに取り組んでいる。偏見や挫折に直面しながらも、生きる意味を見つけた女性は訴える。私たちに産んでごめんねと言わないで――。【芝村侑美】

 口唇口蓋裂は唇や上あご、口の中が割れた状態で生まれる先天性の疾患で、日本人の赤ちゃんのうち500~600人に1人の割合で発生するといわれている。

 大阪市の小林栄美香さん(30)は、生まれた時に重度の口唇口蓋裂が判明した。唇の形成が不十分で生後3カ月で唇を閉じる手術を経験。耳たぶをつくるために骨や皮膚を移植するなど、27歳までに20回以上の手術を受けてきた。カルテにあった乳児期の写真を初めて見た時は「想像以上の姿にびっくりした」と振り返る。

 自分の見た目を意識し始めたのは4歳ごろ。保育園で友だちに容姿をからかわれ、幼心に「空気になろう」と思った。

 思春期は人間関係がうまくいかずに不登校になった。街を歩いていても通り過ぎる人から好奇の目で見られたり、指を差されたりする日々に生きていくのが怖くなった。他人の目線が気になって、マスクが外せなくなった。

 親に心配をかけないように風呂場でシャワーを出しながら泣いた。自傷行為に走ったこともある。「病気の自分の存在を受け止めきれなかった。誰にも弱さを見せられなくて、自分の中だけに抱え込んでしまった」

 殻に閉じこもった小林さんを支えてくれたのは高校時代に出会った友人たちだった。

 入学した通信制の高校にはさまざまな事情を抱えた同級生がいた。「つらいのは私だけじゃない」。思いを共有できる人が近くにいることで、友達のために頑張ろうと前向きになれた。メークを研究するようになると、見た目を気にすることはなくなった。「今思えば、自分自身が一番偏見を持っていた気がします」

 同じ治療を頑張っている当事者や親たちと思いを共有できないか――。9年前に同じ疾患を持つ子の母親に患者会がないことの悩みを打ち明けられたことをきっかけに、大阪市内で交流会を開いた。「見た目の傷で心まで傷つく必要がなくなる社会を目指したい」。20年にはNPO法人「笑みだち会」(メール=info@emidachikai.org)を立ち上げ、代表になった。

 小林さんのもとには、出産したばかりの母親から「どうしたらいいのか分からない」と泣きながら連絡がくるなど、さまざまな状況におかれた当事者や家族から相談が寄せられる。

 患者の心をむしばむのは社会の偏見や無理解だ。小林さんは「多くの人に病気や患者のことを知ってもらうことで、その壁を取り払いたい」と語る。

 口唇口蓋裂の症状はさまざまで、患者も十人十色。それぞれに悩みがあって、人生がある。「自分が発信することで、生きてて良かったということを伝えたい」。暗闇の先に見つけた光を信じている。

誤飲窒息、対応力磨く 出雲のLCが模擬機器を寄贈 島根県立大生、実習で活用

 誤飲で喉を詰まらせた人への処置を学べる医療用シミュレーターが、看護学科がある島根県立大出雲キャンパス(出雲市西林木町)に導入され、学生たちが対応力を磨いている。

 同キャンパスの学生と献血の普及活動に取り組む出雲中央ライオンズクラブ(LC)が、心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)をトレーニングする機器6台とともにシミュレーターを寄贈した。窒息を想定した機器はなく、教員が持参した機材などで対応していたが、十分な実習ができなかった。

 シミュレーターは適切な場所を押すと、口から詰め物が出る仕組み。腹部を突き上げ、口から異物を出させる「ハイムリック法」が体験できる。

 学生たちは実習で取り入れており、看護学科4年の花田圭佑さん(22)は「押さえないといけないポイントが分かり、対応に自信がついた」と喜び、寄贈した出雲中央LCの古川篤会長(46)は「実践的な勉強に役立て緊急時の技術を磨いてほしい」と願った。

 厚生労働省の人口動態統計によると、2023年に国内で発生した不慮の事故による死者数のうち、不慮の窒息は3番目に多い8644人で、交通事故の約2・4倍という。今年2月には福岡県の児童が給食のウズラの卵を詰まらせて窒息死する事故が起きた。

院内処方の歯科医療機関 7割が医薬品の入手困難 日歯調べ 院外処方も5割が困難

院内処方をしている歯科医療機関の7割、院外処方をしている約5割が先発医薬品と後発医薬品ともに入手や処方が困難な状況にある。日本歯科医師会の調査結果による情報提供があった。

 調査は日歯会員を対象とした。回答医療機関の処方区分は、「院内処方のみ」68.1%、「院内・院外両方」25.5%、「院外のみ」7.8%。

 院内処方の歯科医療機関では、「後発医薬品が入手困難」14.9%、「先発・後発とも入手困難」69.3%と計84.2%が困っていることがわかった。院外処方で入手困難なのは、「後発医薬品」12.2%、「先発・後発とも」52.6%の計64.8%.

 入手困難になっている医薬品は、院内・院外処方とも「抗菌薬」が最多となっている。
【歯科通信】

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