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栄養ケア・マネジメントにおける歯科の役割

栄養サポートチームとは医師のみならず、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科医師、臨床検査技師など多くの職種が協力しながら専門的な技能を発揮して各々の症例に対し適切な栄養療法を立案し実行することを指し、この栄養療法が適切に行われれば高い治療効果を得ることができ、さらに合併症発症抑制、入院日数や医療費を削減できることなど明らかになっている。とりわけ高齢者は、潜在的な栄養障害を基盤に持ち、疾病・合併症・副作用などを容易に発症し、発症すれば容易に重篤化し、痴呆・失禁・転倒のリスクを増大させ、寝たきりにつながることが示されており、栄養介入の必要性が叫ばれている。
 今回の調査より、NSTにおいて歯科医療者の積極的関与は十分ではないとの結果が得られた。また、歯科医師や歯科衛生士が在職しているにもかかわらず、NST参加に消極的だったり、NST責任者がその必要性を感じないという結果から、日常診療に忙殺されている現状がうかがえる。
 歯科医師、歯科衛生士に期待するNSTにおける業務内容は、「口腔ケア」「口腔機能評価」「咀嚼機能回復」との回答が多く認められた。しかし、「嚥下機能評価」「摂食機能療法」については3割程度の施設でしか期待されていなかった。
 口腔は消化器官の一部であり、口腔の健康を守る歯科医師が栄養に関わるのは当然の義務とも思われる。今後は、多くの歯科医師が、口腔機能の維持・回復を通じた栄養改善に取り組まれることを期待したい。
日歯医学会誌 26、36-41、2007

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