昭和大学歯学部の向井美惠(よしはる)教授によると、乳児は生後11ヶ月ごろから1歳過ぎにかけて、前歯で食べ物をかじり、奥の歯茎でそしゃく、唾液と混ぜてのみ込めるようになる。
人間の体は、のどや口の中よりも先端の歯や唇、舌先の方が敏感だ。親がスプーンで口の中に押し込んでいては、認識する前にのみ込んで丸のみの癖がつきやすい。「食べさせるときは口の中でなく唇の上に載せて。遊び食べも大事な過程。スプーンなど道具を早過ぎる時期に使わせると、前歯でこそぎとるなど誤った使い方を覚える一因にもなる」と指摘する。
また、話せなくても食事を楽しむ会話は大切だ。こばやしさんは「こぼさないで」と禁止するより、「握れたね」「お口の中がいっぱいでかめないね」などと、子どもに自分の状況を認識させる言葉をかけるように勧める。
毎日新聞 2009.6.28