高齢社会をよくする女性の会(樋口恵子理事長)は9月7日、東京都内で認知症に関する講演会を開いた。この中で、認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長の長谷川和夫氏が「認知症の理解と地域づくり」と題して講演し、認知症の人への接し方として、目を見て話し掛けることや、聞く姿勢を持つことを第一に考えたかかわり方が重要と述べた。
認知症の予防について長谷川氏は、メタボリックシンドロームが脳血管性認知症の原因になることや、アルツハイマー型認知症の発症を早める可能性があることなどを指摘。食生活など生活習慣を改善し、高血圧や肥満などの危険因子を取り除くことが重要と強調した。
認知症の人への接し方については、「人間は言葉のやりとりを補うために目を見る」ことから、目を見て話し掛けることが重要と述べた。
また、患者の気分や感情を大切にすることが求められると指摘。患者が入浴を拒んだ場合に、決められた入浴時間があるとして無理やり入浴させるなど、理屈だけでケアをするのではなく、別の機会にするといった患者に配慮したケアが必要になると述べた。
さらに、長谷川氏がアルツハイマー型認知症の患者を診療した際、患者が言いたいことを言うまで待つという姿勢を実践したところ、患者や家族が満足する診療が可能になったという事例を紹介。その上で、聞くということは同時に待つということが必要になるが、これがよりよいケアをする際に重要になると指摘した。
更新:2009/09/08 14:51 キャリアブレイン