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食器に配慮 集中助ける

 じっと座ったまま食べようとしない、口に食べ物を運ぼうとすると顔をそむけてしまう・・・。認知症のお年寄りの食事に苦労している人は多い。そんななか、認知症高齢者の「食べる力」を引き出そうとする取り組みが医療や介護現場で広がっている。
 認知症高齢者の食べる能力を研究している北海道医療大看護福祉学部教授の山田律子さんによると、対象が何であるかを認識できない「失認」や、目的に向かった行為ができない「失行」などの症状は、食事の場面でも表れる。
 失認なら、一口食べさせることで食べ物であることを認識させたり、失行なら、利き手にはしやスプーンを持たせたりするとよい。食事の様子を注意深く観察し、その人に合った介助法を選ぶことで、食べる力を保持することが可能になる。ただし、本人が自分でできることもあるので、「介助し過ぎない」ことも大切だ。
                 読売新聞 2010.6.26

飲み下す力 訓練で回復

植物状態である遷延性意識障害の人にも口から食べてもらう試みをしているのは、歯科医で大阪大准教授の舘村卓(たかし)さんだ。在宅の80歳代の女性は脳内出血で遷延性意識障害になり、胃ろうにし、7年間、口から食べていなかった。家族が「口から食べさせたい」と希望し、舘村さんは唾液が飲めるが、舌が動くかなど口からのどにかけての機能を調べ、食べ物を飲み込む反射が残っていることを確認。口腔マッサージを家族に指導した。
 約1年後。ベットの背を50度前後に起こし、首を少し前に倒した姿勢で、食べ物を乗せたスプーンを舌に乗せ、軽く下に押してから引き抜くと、「もぐもぐ」と口を動かして飲み込んだ。状態のいい時はおかゆやつぶしたバナナなどを食べる。ただむやみに食べさせると、食物が気管に入って起こる誤嚥性肺炎や窒息の危険もあり、注意が必要だ。
                 読売新聞 2010.6.24

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