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歯のばんそうこう実用化へ 近畿大、極薄シートを開発

近畿大(本津茂樹(ほんつ・しげき)教授)と大阪歯科大(吉川一志(よしかわ・かずし)准教授)の共同研究チームは28日、歯の主成分ハイドロキシアパタイトを0・005ミリの薄さでシート状に加工することに世界で初めて成功したと発表した。

 本津教授らによると、ハイドロキシアパタイトは硬いがもろいため、薄く削っても曲げるとすぐ割れて加工が困難。極薄シートは、ばんそうこうのように歯にそのまま張り付けられ、歯質の修復や知覚過敏の治療に応用できるという。

 すでに特許出願し、11月に広島市で開催される日本バイオマテリアル学会で発表する。

 チームによると、高エネルギーの紫外線レーザーを用いた薄膜化の技術でハイドロキシアパタイトを透明なシート状に加工。鋳型を使えばドームや歯冠の形にもなる。

 歯のエナメル質とほぼ同成分で人体となじみやすい上、薄いので歯の表面に張り付きやすく、唾液(だえき)による再石灰化作用で一定期間たてば定着が見込めるという。

 本津教授は「象牙質がむき出しになった部位に張れば知覚過敏を防げ、小児向けの予防歯科にも使える。耐久性などの問題をクリアして早期の実用化を目指したい」と話している。
2010年9月29日 提供:共同通信社

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