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歯ブラシを開発する小林利彰さん「職業紹介企画」〈この人・この仕事〉

使い心地(ごこち)を試した歯ブラシは千本以上-。小林さんは日用品を作るライオンという会社で、歯と歯ぐきの健康に役立つ歯ブラシを作ろうとがんばっている。以前は歯の治りょうで使う特しゅな材料や歯みがき粉を研究していた。歯ブラシの開発にうつって、今年で12年目になる。

 小林さんは「歯ブラシは『進化』しています」と話す。約30年前の6~9歳(さい)用は、ブラシの部分が今の大人用よりも長く、子どもは、みがきにくかった。今は子ども用も大人用もずいぶん短くなった。「歯を一本一本ていねいにみがき、虫歯を防(ふせ)ぐには、ブラシ部分が短い方がいいですよ」

 「ブラシの毛も、広がりにくくなりました」。材料のナイロンの研究が進み、以前よりもじょうぶな毛になったからだ。「でも、ごしごしとみがかないでください。特に子どもの歯は弱いので、軽く動かすだけですむように工夫しています」

 人気キャラクターの「まめゴマ」や「星のカービィ」が描(えが)かれた6~12歳用歯ブラシの場合、約900本の毛が、虫歯になりやすい奥歯(おくば)のすみや、歯と歯の間までそうじしてくれるそうだ。

 大人になると、歯ぐきが悪くなりやすい。歯と歯ぐきのせまいすき間をきれいにする歯みがきが大事になる。「3月に発売した大人用の新製品(しんせいひん)は、毛の先たんの直径が1ミリの50分の1。根元は少し太く、毛の形はロケットに似(に)ているんですよ」

 小学校の理科の実験をむずかしくした「化学反応(はんのう)」を利用。特別な薬を使って先たんを細くした。「何年もかかって完成した歯ブラシです。どんな商品も一生けん命作ります。買ってもらえた時は本当にうれしいです」。東京都出身。49歳。

先天的 1~数本 子の1割永久歯欠損

28本の永久歯のうち、1~数本が何らかの原因により作られず欠損している「先天欠如」の子どもが10人に1人の割合でいることが、日本小児歯科学会の初の全国調査で5日、分かった。07年~08年に、先天欠如以外の理由で歯科を受診した12都道府県の7歳以上の子ども1万5544人を調査。先天欠如は1568人(10.1%)で見つかった。男子では9.1%、女子では11.0%だった。上あごだけに欠損がある子は2.5%、下あごだけは5.7%、両方は1.9%。下あごで、中央から左右に向かって5本目にある「第2小臼歯」がないケースが最多で、2本目の「側切歯」がない子どもが多かった。
       毎日新聞 2011年3月5日

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