歯性上顎洞炎のように、顔の片側だけで起こる蓄のう症には、カビの一種である真菌の感染が原因になっていたり、悪性腫瘍(上顎洞がん)が見つかるケースもある。真菌が空洞(副鼻腔)内で異常増殖した場合には手術が必要だが、鼻の中から内視鏡を使って除去することが可能だ。特殊な蓄のう症としては他に、飛行機に搭乗中、機内の圧力の変化に空洞の変化が対応できずに起こる「航空性副鼻腔炎」などがある。蓄のう症による炎症が、目に波及する場合もある。特に、両目の間にある空洞(し骨洞)と、眼球の入ったくぼみ(眼窩)を隔てる壁は紙のように薄く、炎症が広がりやすい。物が二重に見えたり、目が腫れたりしたら、一刻も早い受診が必要だ。
毎日新聞 2011年3月11日