へんとう腺で熱が出たという話をよく聞きます。これは変な言葉です。「へんとう腺」は病気のは病気の名前ではなく、身体の部位の名前です。実は「へんとう腺」という言葉も不正解です。「腺」という字は分泌液を出す器官を指す言葉なのですが、へんとう腺は分泌液を出さないからです。正しくは単に「へんとう(扁桃)」といいます。正確には「へんとう炎で熱が出た」というべきでしょう。
へんとうはノドの両側の壁に盛り上がって見える器官です。私たちの身体のいたる所にリンパ節と呼ばれる器官がありますが、このうちのとても大きなものがへんとうなのです。リンパ節はリンパ球を代表とする免疫を担当する細胞が集まっている場所で、身体に侵入してきた病原体をここで攻撃する関所としての役割や、ここからリンパ球などを病原体が侵入した部位に派遣する駐屯地の役割を持っています。
2011.7.13 北海道新聞