ヤマイモなどに含まれる成分にアルツハイマー病を改善する作用があることを、富山大学和漢医薬学総合研究所の東田千尋准教授(46)らの研究グループが動物実験で突き止めた。
病変した神経細胞を回復させる効果も確認され、治療薬開発につながると期待される。
成分は、ヤマイモなどに含まれ、強壮作用があるとされる化合物ジオスゲニン。実験では、アルツハイマー病を発症させたマウスに1日0・12ミリ・グラムずつ、20日間連続で注射した。その後、記憶力を試すと、注射していないマウスが30分前に見た物体に初めて見るような反応を示したのに対し、注射したマウスは正常なマウスと同じく既知の物体と認識した。
アルツハイマー病はアミロイドβ(ベータ)と呼ばれるたんぱく質が脳内に蓄積することで、神経細胞から伸びた突起「軸索」が病変を起こして記憶に障害が出る。実験では、ジオスゲニンの投与でアミロイドβが約7割減少し、さらに、軸索が正常な状態に戻っていたことが分かった。
読売新聞 7月26日(木) 配信