栃木県真岡市立亀山小学校で2010年2月、給食で提供された白玉を喉に詰まらせて意識不明の重体になった当時小学1年の男児(9)の家族が22日、代理人弁護士を通じ、事故の原因究明と男児への補償などを求める要請書を真岡市教育委員会に提出した。
市は事故後、再発防止のための調査委員会を設置せず、今年7月、栃木市の保育園で女児が白玉を喉に詰まらせて死亡する事故が再び起きた。男児の両親は「しっかり対策をとっていれば新たな事故は起きなかった。栃木市のような本格調査をしてほしい」としている。
両親によると、男児は10年2月10日、給食で出た「白玉汁」の白玉(直径約2センチ)を喉に詰まらせ、心肺停止状態に陥った。手術の末、10年12月に自宅に戻ったが、人工呼吸器をつけ、胃ろうを通じて食事を取る生活が今も続いている。日本スポーツ振興センターによる医療費と見舞金が給付されたが、市教委の補償はなく、福祉車両の購入、自宅の改築費などは自費で負担している。
市教委は事故後、事故調査委員会の設置を見送り、調査報告書をまとめていない。事故の2日後に再び給食で白玉を出すなど再発防止を徹底しなかったため、両親は「同様の事故を防ぐことができなかった」としている。
代理人の弁護士は、事故原因究明のための第三者委員会の設置と、男児の生活補償を求め、「学校で起きた事故なので市教委としてきちんと対応してほしい」としている。父親(32)は「対応によっては訴訟も検討する」と話している。
栃木市では今年7月17日、市立はこのもり保育園で同市大町、森戸里世ちゃん(2)がおやつで出された同じ製造元の白玉を喉に詰まらせ、8月19日に死亡した。同市は「保育中に提供された白玉で起きた事故で、保育園と市に責任がある」とし、第三者の事故調査委員会を設置するとともに、治療費などの名目で約1900万円の賠償金を準備している。
男児の父親は「真岡市の対応は不十分。この先も仕事を続けながら一生、息子を介護し続けることを考えてほしい」と訴えている。市教委は「要請書を確認していないのでコメントできない」としている。読売新聞 8月23日(木) 配信