政府は、生活保護を受けている人の医療費について、一部自己負担を求める方向で検討に入った。
現在は全額公費で賄われており、増え続ける生活保護費に歯止めをかける狙いがある。生活保護費の扱いは2013年度予算編成の焦点の一つで、財務省と厚生労働省が本格的な調整に入る。ただ、重い病気を患いながら生活に困っている人に配慮する必要があるため、負担額や見直しの手法については、両省を中心に具体策を詰める。
22日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会は、生活保護制度の見直しについて協議し、医療費の一部自己負担導入について委員から異論はなかった。
高齢化の進展や08年9月のリーマン・ショックなどをきっかけに生活保護を受けている人が急増しており、今年6月現在の受給者は約211万人。これに伴って、生活保護費も増加傾向にあり、10年度実績で総額約3・3兆円(国の負担が2・4兆円、残りを地方自治体が負担)に上る。このうち、公費で医療費を全額負担する「医療扶助」が約47%を占め、金額では約1・5兆円に膨らんでいる。
読売新聞 10月23日