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家族の絆を深める口腔ケア

「おじいちゃんの口が臭いからお見舞いに行きたくないって孫が言うの」
 奥様は、そうKさんにこぼしたのです。

 ショックを受けたKさんは、なんとかしたいと思って書籍を調べてみました。
そこで目に入ったのは、「口臭の原因のひとつは口腔乾燥」という一文。夢中で
読み進めると、ストレッチを加えて唾液分泌を促す口腔ケアが効果的と書かれて
いたのです。

 さっそくKさんは、その日から粘膜ブラシ『くるリーナ』で口腔内のストレッ
チを行ない、唾液の分泌を促進。1週間ほどすると口腔内が潤い、口臭も軽減さ
れてきました。

 そして数週間後……。

 和幸さんの病室から聞こえてきたのは、お孫さんのかわいい声。室内を見てみ
ると、和幸さんが幸せそうにお孫さんを抱っこしていました。

「口腔ケアは、家族の絆を深める役割もあるんですね。今までは、清潔に保った
り誤嚥性肺炎を防ぐことだけが目的だと思っていました」
 Kさんは今、あることを看護師長に提案する予定です。それは、口臭が強い患
者さんにはお見舞い時間の前に口腔ケアをすること。たくさんお見舞いに来ても
らい、早く患者さんに元気になってほしいとKさんは願っています。

酒販売量少なく貯蓄多い県ほど、低いものは

自殺死亡率が全国の都道府県で最も低い奈良県は、要因を各省庁の統計データを基に分析し、「酒類の販売量が少ないほど、また、貯蓄の額が多いほど、自殺死亡率が低くなる傾向がある」とする調査結果をまとめた。

 県自殺対策連絡協議会(座長=神沢創・帝塚山大教授)が昨年4月から調査した。奈良の人口10万人あたりの自殺死亡率は2011年で17・4人。過去10年で最も低かった年が5回あり、残りの年も40位以下だった。全国平均は24・06人。

 酒類1人あたりの年間販売量(10年)は、奈良は66・8リットルで41位。自殺死亡率が19・3人(46位)の三重は66・4リットルで42位、20・8人(42位)の岐阜は65・9リットルで43位だった。一方、33・1人(1位)の秋田は93・9リットルで5位、25・9人(9位)の高知は100・8リットルで2位だった。

 世帯平均貯蓄額(09年)でみると、2位の奈良は1899万1000円。1位の香川は1972万5000円で自殺死亡率が20・7人(45位)だった。一方、38・1人(1位)の秋田は貯蓄額40位、34・6人(2位)の青森は同46位。過去の調査でも、同様の相関関係が確認できたという。

 神沢教授は「調査結果を踏まえた対策を進め、自殺する人を一人でも減らしてほしい」と話した。
読売新聞 1月1日(火)

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