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歯を食いしばらない 香山リカのココロの万華鏡

香山リカのココロの万華鏡:歯を食いしばらない /東京

 歯や歯ぐきが痛くて歯科を受診したときのこと。レントゲンを撮ったり、口の中の状態を見たりして、歯医者さんはこう言った。「これ、歯の食いしばりが原因ですね。知らない間に随分力を入れてかみしめているみたいですよ」

 私は驚いた。特に奥歯をガッチリ食いしばり、顎(がく)関節が痛くなったり空気を飲み込んで胸が苦しくなったりする人がいることは知っていたが、まさか自分がそうなるとは。しかも、かみしめはストレスが原因とも聞いている。私は焦って歯医者さんに聞いた。

 「先生、私ストレスとは無縁の生活なんですよ! いったいどうすればいいのですか。食いしばり防止のマウスピースがあると聞きましたが、それを作ればいいのでしょうか」

 すると、歯医者さんは少々あきれたような顔をしながら、こう答えたのだ。「ストレスがなくてもかみしめちゃう人もいます。いきなりマウスピースを作らなくても、『食いしばっている』と気づいたら、ちょっと緩めて上と下の歯を離すだけで効果ありますよ」

 なるほど、そのつど力を抜くだけでいいのか。それから意識して口の中を緩めるようになった。すると、確かに歯の痛みは消えた。

 その経験をして以来、診察室で患者さんの顔を見ると、「歯を食いしばっていないかな。顔に力が入りすぎていないかな」と気になるようになってきた。精神科の診察室に来る人は深刻な表情をしている場合が多いが、中でも額にしわを寄せ、頬やあごにグッと力が込められているのがわかる人がいる。

 そういう人には、「ちょっと顔や口の中を緩め、だらーんとしてみては?」と促してみる。「ほら、ちょっとポカンと口を開け、ほわっとため息をついて……。そうそう、顔が緩んだでしょう」と、「にわか講師」になってリラックス法を指導することもある。

 私たちは日ごろ、緊張の連続で知らない間に顔全体に力がこもり、グッと歯を食いしばっているという人も少なくないだろう。そういう人にはぜひ、顔の力をフッと抜くだけで楽になる「顔緩め健康法」を勧めたい。「顔を緩めるだけで健康になれるんですか?」と聞かれたら、「いや、まだデータは集めてなくて」と正直に言うしかないのだが、簡単にできるリラックス法としてはなかなかいいのでは、と思っている。

 さあ、皆さんも一、二の三で、顔をだらーんと緩めてホッとため息。ガチガチの体とココロが少しほぐれるはずです。
毎日新聞社 4月23日(火) 配信

13年度4573億円赤字 健保の4割、保険料上げ

健康保険組合連合会(健保連)は22日、全国の1420健保組合全体で2013年度の経常赤字が4573億円に上り、6年連続で大幅赤字になるとの見通しを発表した。4割に当たる557組合が保険料率を引き上げ、うち254組合は2年連続の上昇となった。

 平均保険料率は前年度比0・33ポイント上がって8・64%。保険料のベースとなる賃金が低迷する中、料率の引き上げで収入増を図るが、高齢者医療向けの拠出金負担が4・63%増の3兆2863億円になることが響く。

 赤字を埋める積立金は07年度末に約2兆8千億円あったが、6年間で約1兆8千億円を取り崩し、14年3月末には約9700億円まで減少する見通し。健保連は「積立金は2年余りでなくなってしまう」と危機感を強めている。

 健保組合は主に大企業の従業員とその家族約2937万人が加入。回答があった1393組合のデータから全体を推計した。

 経常収入は4・47%増の7兆2211億円で、経常支出は2・43%増の7兆6784億円の見込み。8割を超える1187組合が赤字となる。経常赤字額は12年度よりも1300億円近く縮小する見通しだが、08年度以降、3千億円を超える大幅な赤字が続く。

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