記事一覧

歯周病:治療により血糖コントロールも改善

糖尿病患者は歯周病になりやすいことが知られている。さらに、歯周病は糖尿病を悪化させる要因でもあり、歯周病治療を行うことで、血糖コントロールは改善することが明らかになってきた。


--------------------------------------------------------------------------------

 歯周病は、歯と歯茎の間に歯周病菌が感染し、炎症によって歯槽骨が破壊され、最終的に歯を失う疾患だ。発症には、加齢、喫煙やストレスといった生活習慣、遺伝などが関連し、糖尿病も危険因子になっている。

徳島大学大学院歯周歯内治療学分野教授の永田俊彦氏
 2型糖尿病患者は、歯周組織における免疫機能の低下が見られ、非糖尿病患者に比べ歯周病の発症率が高いとされる。「血糖コントロールが不良な場合に歯周病は悪化しやすく、特に糖尿病腎症による透析患者では喪失歯数が多い」と徳島大学大学院歯周歯内治療学分野教授の永田俊彦氏は話す。

 一方、歯周病があると局所の炎症がインスリン抵抗性の発現に関与し、糖尿病を悪化させるとの説も有力になっている。海外でも、重度の歯周炎がある人は、健常人よりもHbA1c値の上昇率が大きい(5年間で約5倍)、歯と歯茎の間の溝の深さを示す歯周ポケット値が大きいほどHOMA-IR値で評価したインスリン抵抗性が高い、などの報告がある。

 永田氏は、糖尿病で重度歯周病だった66歳の女性患者に対し、歯周病治療を行いHbA1c値の推移を追った。治療は歯磨き指導、歯石の除去などによる口腔内環境改善に加え、歯周病が進行していた5本を抜歯した。その結果、治療開始から2年で歯周ポケットが4mm以上の部位は27.5%から7.4%に減少し、HbA1c値は6.52%から5.45%へと1.07%低下した

過去ログ