県内約1700人の歯科医を会員に持つ県歯科医師会(柳川忠広会長)は、大規模災害時に歯科医の安否情報をリアルタイムで確認、受診できる歯科医院や災害派遣に協力できる歯科医の情報を閲覧する独自システムを開発した。従来より迅速な災害支援が可能で、同会によると全国初の試みという。【平塚雄太】
災害時に会員の安否を確認するメールシステムはあったが、東日本大震災を受け、受診できる医院や派遣可能な歯科医の情報を集約できるよう改良を進めていた。
新システムでは災害が起きた場合、会員が安否確認や診療可能かをメール返信しネット上で医院の地図情報とともに公開される。
さらに県や県警から災害支援要請があった場合、会員が診療や身元確認作業に従事できるかを登録。歯科医師会内部システムでチェックでき、派遣可能な歯科医の数を早期に確認できるという。
阪神大震災では、避難生活者の死因の一つに、歯周病菌などを含む唾液が誤って気道に入ることで起こる「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」があり、歯科治療の重要性が指摘された。東日本大震災でも、高齢者のため歯科医が避難所に出張。身元不明遺体は歯の治療痕から氏名を特定できたケースも多い。
歯科医の安否や診療可能医院の情報は、大規模災害発生時、県歯科医師会のホームページからリンクできるようになるという。