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在宅医療、実績重視の方針打ち出す

2014年度診療報酬改定の重点課題の一つが、在宅医療の充実。過去数回の改定でも在宅医療は手厚く評価され、2012年度改定では、機能強化型の在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院が新設された。今改定では、機能強化型と機能強化型以外の両方において、「実績評価」の考え方を取り入れたのが特徴と言える。1月29日の中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)で提示された(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。

 一方で、在宅の「不適切事例」の適正化も進める。集合住宅にいる患者に対し、効率的に在宅医療を行う例が見られるため、「同一建物における、同一日の複数訪問時」の点数を新たに設けるなどの措置を講じる。

 新点数としては、在宅患者の緊急受け入れなどを担う、「在宅療養後方支援病院」が評価されるほか、24時間対応などを要件とする機能強化型の訪問看護ステーションも新設。

 在宅における褥瘡対策推進に向け、訪問看護ステーションの訪問看護管理療養費の算定要件に褥瘡対策の看護計画の作成・実施・評価が加わるほか、在宅患者訪問褥瘡管理料が新設される。

 実績要件は約2倍の見通し

 機能強化型の在支診、在支病をめぐっては、高い診療報酬を算定していても実績に乏しいケースがある一方、「在宅医療を担当する常勤医3人以上」の要件を満たせず、機能強化型になれない在支診、在支病でも、機能強化型を超える実績を上げているケースがある(『緊急往診や看取りの実績追加検討、「強化型」』を参照)。今改定は、これらの矛盾を解消するのが目的。

 機能強化型の在支診、在支病はいずれも、(1)過去1年間の緊急往診(単独型は現行は5件以上)、(2)過去1年間の在宅看取り(同2件以上)――の実績要件が、それぞれ約2倍に引き上げられる見通し。

 さらに、機能強化型以外の在支診、在支病についても、機能強化型の同等の実績がある場合には、緊急往診と在宅看取りの実績を「在宅療養実績加算」の形で評価する。

 京都府の取り組み、「在宅療養後方支援病院」

 「在宅療養後方支援病院」の新設は、連携型在支診、在支病以外にも、緊急時などの受け入れ体制を強化するのが目的。京都府の「在宅療養あんしん病院登録システム」をベースにした評価と言える。

 「在宅療養後方支援病院」の点数は、緊急時に入院を希望する病院として、あらかじめ当該病院に届け出ている患者が対象。現在は連携型在支診、在支病で算定できる「在宅患者緊急入院診療加算」のほか、在宅医療を担当する医師と共同で訪問診療などを行った場合に「在宅患者共同診療料」が新設される。

歯と口から健康な生活 群馬県が歯科口腔保健計画

群馬県は、歯と口の健康づくりの方向性を示す「県歯科口腔(こうくう)保健推進計画」の原案をまとめた。障害者(児)や要介護者ら対応が難しい人の実態調査を進め、適切な歯科検診や医療につなげるほか、生活習慣の乱れで口腔機能が低下しやすい成人への対策も強化する。期間は新年度から2018年度までの5年間。全国で対策が進む中、本年度から「県歯科口腔保健の推進に関する条例」も施行されており、県は計画で効果的に施策を講じたい考えだ。

 障害者は姿勢の維持やコミュニケーションが難しく、治療を拒む場合があるほか、介護が必要な高齢者は通院が困難であるなど、両者をめぐる歯科医療は課題が多い。

 県はまず、利用施設での歯科検診や保健指導の実施状況などを把握する。その上で、歯科医師会や担当部署と連携し、医療が必要な人がどの程度いるかを調べて提供体制を検討する。

 障害者については、施設の職員らに対し、口腔機能の向上のための研修を実施したり、受け入れる医療機関の名簿を作成して情報提供したりする。

 成人は学校で定期的に検診を受ける子どもと異なり、仕事による多忙や意識の低下から管理が不十分になる。今後は受診の必要性や歯間ブラシの使い方を啓発。40代で進行した歯周炎がある人を現状の40%から35%にし、かかりつけ医を持つ人も85%に増やす。

 環境整備にも力を入れる。介護や看護の職員を対象に、ボランティアの「歯科保健サポーター」の養成研修を実施。働く現場での対応や、同僚への知識の普及に生かしてもらう。

 計画の進み具合を評価する組織として、保育や介護、医療、衛生など多分野の専門家で計画推進会議を立ち上げ、課題や必要な施策を洗い出す方針だ。

 県保健予防課は「歯と口の健康を保つことは、質の高い生活を送り、健康寿命を延ばすことにつながる」と説明している。

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