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歯髄細胞を用いた歯槽骨再生に成功。抜いた歯は捨てない時代になるか!?

 再生医療普及に対する気運が高まる中、『シバタ再生医療センター』(愛知県岡崎市)が、【再生医療推進機構】(東京都中央区)の協力を得て、歯槽骨が萎縮しているためインプラントの埋め込みが困難な2名の患者に対し、国内初となる歯髄細胞を用いた歯槽骨の再生に挑戦し、治療に成功した。骨髄細胞を利用した歯槽骨の再生はすでに実用化されているものの、骨髄を歯科施設で採取することは困難であることに加え、患者の身体的負担も少なくない。しかし今回は、『再生医療推進機構』が運営する「歯髄細胞バンク」で保管されていた細胞を使用。患者に身体的負担をかけずに治療ができるようになった。

補綴治療による咬合様式の変化で味覚異常を起こす可能性大。

補綴治療により歯の機能を回復しようとする人は多い。しかし、不適合補綴により咬合に問題が起こると味覚障害を引き起こすと、日本歯科大学名誉教授の丸茂義二氏は指摘している。丸茂氏が歯科医300人を対象に行った実験によると、天然歯列に異なる咬合の装置を入れて、同一の料理や飲料を試食した場合、咬合の種類によって大きな違いが発生したという。この原因について丸茂氏は、咬合様式の時系列的な変化と不適合な補綴の関係をあげている。本来、人は年齢を重ねると、咬合様式が犬歯誘導からグループファンクション、片側性平衝咬合、両側性平衝咬合へと移行するのが自然な流れとのこと。そこで、その時点での咬合様式から逆行するような補綴治療を行うと、違和感につながるのだという。

「様変わりする食物アレルギーと緊急時の対応」

講師  渡辺一彦小児科医院 院長 渡辺一彦氏

1.食物アレルギーとは、
  原因食物により、免疫機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象のことであって、食物不耐症、食中毒、仮性アレルゲンなどは含まれない。原因食物は多くあり、学童から成人にかけては、甲殻類、魚類、小麦、そば等が目立つが、近年になって、北海道で特に多いものに果物アレルギーが目立つ。北海道ではシラカバ花粉症が多く、シラカバ花粉と抗原が交叉するバラ科植物に果物(リンゴやビワなどの)口腔アレルギーが目だっています。
2.食物アレルギーの症状としては、
  ○皮膚粘膜症状
   ・皮膚症状 ?痒感、じんましん、湿疹等
   ・眠症状 粘膜充実・浮腫、?痒感、流涙等
   ・口腔咽喉頭症状 口腔・口唇・舌の違和感等
  ○消化器症状 腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便
  ○呼吸器症状
   ・上気道症状 くしゃみ、鼻汁、鼻閉
   ・下気道症状 呼吸困難、咳嗽、端鳴
  ○全身症状
   ・アナフィラキシー 多臓器の症状(二つ以上の臓器に症状が出る)
   ・アナフィラキシーシヨック 頻脈、虚脱状態(ぐったり)・意識障害・血圧低下
3.食物アレルギーの原因(抗原)と頻度は、
  ○抗原は年齢によって異なる
   乳幼児では、1位は鶏卵、2位は牛乳であり、学童期からは、甲殻類がおおくなってきていたが、最近では果物が多くなってきている。
  ○頻度は乳幼児期が高く、高齢者で低い
   乳幼児では消化機能が発達してないので、タンパク質などの抗原をアミノ酸等まで消化分解できず、抗原のまま吸収して血中に入り、アレルギー症状を起こす。
  ○歴史的変遷があり、近年は増加傾向にある化学物質(食品添加物や空気の汚染等)に囲まれた現代生活が影響しているのか
  ○地域差がある(北海道のOAS)
   北海道には果物アレルギーが多い
   OAS:口腔アレルギー症候群
4.食物アレルギーの診断
  ○問診(症状と抗原の摂食、摂取、吸入などの聞き取り)が重要。非即時型では困難
  ○一般的な皮膚テスト、特異的1gE抗体検査は的確ではない。即時型アレルギーの診断ではかなり有用だが、それでも擬陽性、擬陰性がある。
  ○非即時型では細胞免疫の関与が主で、リンパ球刺激反応が特異的といえるが、検査機関がきわめて限定的で広まっていない。
5.アナフィラキシー
  ○アナフィラキシー(エピペン治療対症)
   全身性(複数臓器異常に渡る)の急激な重傷なアレルギー反応
  ○アナフィラキシーショック
   (この段階ではエピペン治療は遅すぎる)
   血圧低下、意識障害、呼吸困難など生命を脅かす状態
  ○アナフィラキシーの主なリスク要因食物:札幌市では、ソバ、ピーナツ、ビワは学校給食で使用しないことになっている
   毒液:スズメバチなど昆虫
   薬剤:ペニシリンシヨック等
   ラテックス:手術用手袋等
   アナフィラキシー発現から心停止までの時間は、薬剤では5分、ハチ毒では15分、食物では30分と言われている。
6.エピペン
  アナフィラキシー症状が現れたら、速やかにエピペンを使用すること。アナフィラキシーを起こした人のそばにいた人が、患者にエピペン使用後不測の事態になっても罪には問われない。逆に、アナフィラキシーを起こしているのに、使用しないで死亡となった場合には、裁判の対象になることもあるという。

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