記事一覧

スポーツ傷害、安全の秘訣10カ条【米国整形外科学会】

米国整形外科学会(AAOS)は9月16日、米国整形外科スポーツ医学会議(AOSSM)とともに、一般的なスポーツのリスクを低減するために、子どもをスポーツ傷害から守るための安全の秘訣を公表した。

 スポーツ傷害の中で最も多いのは使い過ぎによる傷害で、若いアスリートは傷害初期に感じるうずきや痛みを見過ごすことが多い。AAOSは、「傷害の診断の遅れにより一層重症化することがあるので、痛みについてコーチや親に伝えるように、指導することが重要」と指摘している。子どもをスポーツ傷害から守るための安全の秘訣10カ条は下記の通り。

【安全の秘訣10カ条】
 1. シーズン前に身体検査を受け医師の助言を受ける
 2. 適度なウォームアップとクールダウン、ウォーキングやサイクリングのように衝撃が少ないエクササイズを行う
 3. 強度トレーニングやストレッチを常時取り入れる
 4. 適宜水分補給して健康を維持するとともに筋痙攣を最小限に抑える
 5. グラウンドの状態は良くしておき、目の安全を確保する
 6. 痛みのある状態で競技をしない。気になることがあれば整形外科スポーツ医学専門医やアスレティック・トレーナに相談する。
 7. 自分に合った滑り止め、パッド、ヘルメット、マウスガード、その他の必要装具を競技種目に応じて着ける
 8. オフシーズンは普段と異なるポジションやスポーツをしてオーバーユース傷害を最小限に抑える
 9. 傷害に繋がりやすい降雨や地面の滑りやすさ等の気象条件に注意する。
 10. 過度に訓練しない

介護利益率、大半5%超 経営安定、厚労省調査

厚生労働省は3日、介護サービス事業所の今年3月の経営実態を調査した結果を発表した。収入に対する利益の割合である「収支差率」は、大半のサービス類型で5%を超えた。厚労省は「おおむね安定的な経営と言える水準だ」と分析。2015年度の介護報酬改定の基礎資料となり、引き下げを求める圧力が強まりそうだ。

 職員の給与は一部を除いて3年前調査に比べて改善した。処遇改善に取り組んできた効果が一定程度出た。

 収支差率が10%を超えたのは、認知症グループホーム(11・2%)や通所介護(デイサービス)(10・6%)など。特別養護老人ホーム(特養)は定員30人以上の施設で8・7%、定員29人以下の小規模施設でも8・0%と高い水準だった。

 ケアマネジャーが介護利用計画を作る居宅介護支援は、前回より1・6ポイント上がったもののマイナス1・0%と低迷。12年4月に新たに始まった「24時間地域巡回型サービス」も0・9%と低かった。

 看護と介護の職員の平均月給は、定員30人以上の特養では約32万6千円と3年前から約2万2千円増えた。訪問介護は約3万5千円上がって約25万9千円、通所介護も約3万円増の約25万7千円だった。一方、介護型療養病床では約3千円下がって約34万円となった。

 調査は全国の3万3339事業所を対象に実施。うち48・4%に当たる1万6145事業所から有効回答を得た。

 ※介護報酬改定

 介護サービスを提供する事業者に支払われる費用の公定価格の見直しで、原則3年に1度実施される。報酬が上がれば、介護現場は質の向上につながると期待する一方で、利用者や国の負担が増え、保険料のアップにもつながる。2015年度の改定では、不足する介護職員の確保に向け、どれだけ賃金の改善につなげられるかが焦点となる。

【滋賀】医事雑感 摂食・嚥下障害 ご近所のお医者さん

◇最期まで「食べる喜び」を--堀泰祐さん(県立成人病センター緩和ケア科)

 滋賀在宅医療セミナーが先日、開催されました。高齢化社会に対応して、患者が病院ではなく、暮らしの場所で医療を受けられるように在宅医療の普及を目指す取り組みです。

 セミナーには、医師や看護師、薬剤師、理学療法士など多くの職種が集まり、熱い思いを感じました。講義やグループワークを通して、在宅医療の知識を高め、さまざまな職種の顔の見える交流を図ることが狙いでした。

 私はがん疼痛(とうつう)緩和の講義を担当したのですが、セミナーの中で摂食・嚥下(えんげ)障害に関する講義は新鮮で「目からうろこ」でした。

 まず、歯科の先生から、口腔(こうくう)ケアの重要性が示されました。口腔ケアは虫歯や歯周病を予防するだけでなく、咀嚼(そしゃく)や嚥下機能を保ち、肺炎の予防にもなります。次いで、摂食・嚥下や栄養学に関する講義がありました。老化が進むと、食欲の低下、歯の喪失、咀嚼力の低下、消化液の分泌低下などから、次第に低栄養状態になりやすくなります。栄養状態が悪化すると、筋力の低下によりさらに咀嚼・嚥下力が低下するという悪循環に陥ります。

 嚥下機能が障害されると、誤嚥(ごえん)しやすくなり、肺炎の危険性も高まります。高齢者の死亡原因の中で、肺炎はがんや心疾患とともに常に上位を占めています。

 高齢化や脳卒中など、いろいろな疾患で摂食・嚥下障害が生じるのは、ある程度やむを得ないものと考えられてきました。食べられなくなれば、すぐに胃ろうやチューブ栄養に頼ってしまうような、安易な対処が行われがちでした。

 摂食・嚥下障害に対しては、さまざまなアプローチがあります。まず、嚥下状態を詳しく観察し、内視鏡やレントゲンを用いて、嚥下機能を評価します。嚥下訓練にはさまざま方法があり、専門の言語聴覚士(ST)による指導が行われます。

 口腔ケアや日常的に行う嚥下体操、食べやすい食事形態にすることや、食べるときの体位や環境の工夫なども有効です。

 多くの職種が協力して、高齢者ができるだけ最期まで食べる喜びを失わないよう、支えてゆくことが大切です。

過去ログ