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「食べたい」をかなえる 炎症性腸疾患に愛情レシピ 「医療新世紀」

クローン病と潰瘍性大腸炎は、いずれも腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる原因不明の難病で、ひとくくりに「炎症性腸疾患」と呼ばれることもある。10~20代の若年者の発症が多く、患者は繰り返し現れる下痢や腹痛、血便、発熱などの症状に悩まされる。

 体調のコントロールに欠かせないのが食事の管理。脂肪や食物繊維、香辛料などの刺激物を避けながら、高いカロリーの摂取が求められるが、食材選びは面倒で、できた料理も味気ないものになりがちだった。

 そんな患者の「おいしく食べたい」という願いをかなえるレシピ本が出版された。「クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん」(女子栄養大学出版部、1620円)だ。

 著者は料理研究家で栄養士の田中可奈子(たなか・かなこ)さん。田中さんの息子は大学に在学中の2009年、突然クローン病と診断された。当初は「私の作った食事が悪かったのか」と自分を責めたり「何を食べさせたらよいのか」と悩んだりする日々が続いたという。

 しかし「家族みんなで楽しく食卓を囲みたい」という一心で、田中さんは工夫を重ねた。調理に油は使わず電子レンジを活用する。繊維を断ち切る包丁の入れ方をする。牛乳の代わりに豆乳を使う―。本書には、こうして生まれた約90種の料理について、材料や作り方が紹介されている。カレーやパスタ、丼物からデザートまで、患者だけでなく、家族全員がおいしく食べられるレシピだ。

 医師による病気の解説や患者の体験談、管理栄養士によるアドバイスなども掲載。写真やイラストも豊富で、理解しやすい内容となっている。

ロキソニン、土壇場で第1類に据え置き

ロキソニン、土壇場で第1類に据え置き 薬食審・安易なリスク区分引下げへの懸念強く

 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会は一般用医薬品のリスク区分について議論し、ロキソプロフェンナトリウム水和物を第1類とすることを決定した。事前に開催された薬食審・安全対策調査会で同成分は指定第2類に移行することを固めていたが、今部会では出席した多くの委員がリスク区分を引き下げることへの懸念を表明し、安全性への配慮から急きょ第1類のままで据え置くことを了承した。

 同部会ではロキソプロフェンナトリウム水和物(販売名・ロキソニンS)について議論。厚労省は事前に開いた安全対策調査会において「一般用医薬品としてイブプロフェン・アスピリン等と比較して特記すべき点は認められず、厳格な取扱いとすべき理由はない」との結論から、指定第2類へと移行することを認めていたが、この日の部会では厚労省に寄せられたパブリックコメントのほとんどが第1類とすべき要望であることや、そもそもリスクのある薬を意図的に引き下げる理由はないといった意見が続出。日本医師会常任理事の今村定臣委員は「指定第2類に移行するということは、販路がこれまで以上に拡大すること。妊娠後期の女性へのリスクを考慮すると、第1類のままが妥当」と指摘したほか、日本薬剤師会副会長の生出泉太郎委員も「これからのスイッチOTCへの流れを考慮すると、安易にリスク区分を引き下げることはどうなのか。その試金石になるのではないか」と語り、引き続き第1類として販売することを要望した。

 部会長と厚労省は添付文書への記載と妊婦へのリスクを啓発することで懸念は払拭できるとの安全対策調査会の意見を提示したものの、多くの部会員は「特定の対象にリスクがわかっている成分を引き下げる理由には当たらない」などの考えから、部会として第1類で据え置くことが妥当との結論に至った。

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