「県立あすなろ療育福祉センター」(青森市石江)に、県内初の障害者専門歯科診療施設が開設されて1年たった。利用者から「専門治療を受けられて助かる」と喜ばれており、さらなるニーズも見込まれるため、センターは7月から、診療日を週1日から週2日に拡大することを決めた。現在は、センター利用者のみの診療となっているが、将来的には一般の障害者の治療も引き受ける方針だ。
5月26日、水頭症の影響で足が不自由な古木千尋さん(26)=青森市=がセンターで歯科治療を受けていた。母・睦子さん(53)は「以前は一般の医院を受診しても薬だけ塗って『終わり』ということがあった。センターで専門の治療が行われるようになって助かっている」と話した。
昨年4月に開設されたセンターの歯科診療施設は、毎週火曜日の午前9時から正午まで、県歯科医師会、弘前大、岩手医科大の歯科医師が交代で治療に当たっている。2014年度の患者数は延べ302人、1日の受診者は平均6・4人。センターは、14年度の実績などを踏まえ「2日連続で処置が必要なケースもある」として7月から水曜日の午後も診療することにした。
県歯科医師会の波多野厚緑理事は「障害者歯科治療は、患者が環境変化に敏感だったり、移動が困難だったりするため、特別な配慮と技術が必要。専門治療施設での治療ニーズは多い。全身麻酔などの機器はそろっているので、今後幅広く診療を行っていきたい」と意欲を語った。センターの村上直弘所長は「センター利用者以外の障害者の人も受診できるように前向きに検討している」と話した。
現在、センターには、状態が比較的安定した重症心身障害・肢体不自由の14人が入所。リハビリ通所の22人が登録している。