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ドクターG「なぜか食べられない」【6月16日放送】

2015年06月16日(火) 14:05-14:55/NHK総合

 患者は62歳の男性で、主訴は「なぜか食べられない」。1週間くらい前から腹が張っているが、下痢や便秘、痛みや吐き気もないという。妻によると、男性は1ヶ月くらい前から徐々に食事の量を減らし、外出したのは2週間前が最後。服や靴のサイズに違和感を覚えつつ、タバコも吸わなくなっていったという。来院1週間前、男性の食事の量はより一層減少、食べてもいないのにお腹が張り、食欲がないのだという。ここ数日はまともな食事をとらず、ゼリーしか口にしていない。

肝硬変?ネフローゼ症候群?

 スタジオでは患者の基礎データを確認。堀ちえみは2001年に急性膵炎を発症しており、最初は食欲不振の症状が出たという。高橋ジョージは患者の浮腫、腎不全や糖尿病が気になっているという。3人の研修医が患者の病名を予想。肝臓の働きが低下する肝硬変は、肝臓の細胞が壊れて硬くなる病気で、腹水による腹部の張りや食欲低下、息切れが一致するという。一方、ネフローゼ症候群は体内のタンパク質が尿と一緒に漏れ出る病気。全身のむくみや腹水、心臓・肺に水がたまる症状が現れる。患者は1ヵ月前にすぐ満腹になる食欲不振を訴え、20日前から除々に食欲が低下。食欲はあるがすぐに満腹になるという状態は、腸管が詰まっている可能性があるという。しかし消化管に問題があれば下痢や便秘などの症状があるはずだが、患者は下痢・便秘・腹痛の症状を訴えていない。お腹が張るという症状は、腹水か臓器による腫れの可能性が高い。しかし高橋ジョージは、「この中に正解はない気がする」と述べた。

心臓の弁に菌の塊が付着、心不全

 患者はお腹の張りを常に感じているが、触られても痛みはない。横になると呼吸が悪化する傾向が強く、ここ最近はずっと身体にダルさを覚えているという。夜は寝汗のせいか眠れず、ペンだと文字を書くのが難しいためパソコンを使用している。来院当日、患者の体重は2kg増加しており、服のサイズもきつくなっているという。普段動かないせいか息切れが強いが、辛さは感じていないと語った。

 研修医が患者の病名を推理。高橋ジョージは脳梗塞・脳血栓、3人の研修医は肝硬変、悪性リンパ腫だと考えた。悪性リンパ腫は首やわき、足の付け根のリンパ節が腫れる病で、発熱や寝汗が症状として現れる。しかし患者の体重増加は全身に水がたまっていると考えられ、肝硬変による脾臓の腫れがお腹の張りの原因だと話した。寝ると全身から返ってくる血液量が増えるため、心臓や肺がうっ血し、息苦しさを引き起こしている可能性が高い。息苦しさは心不全の症状とも考えられ、心不全の原因は心筋炎や貧血が該当するという。発熱し心不全になる病気としては、心筋炎や感染性心内膜炎が濃厚。肝硬変は腹水がないことから除外。甲状腺機能亢進症は食欲不振の原因にはならないため除外。心筋炎はもう少し重症になるため除外。感染性心内膜炎は断定し辛いが、残ったのは悪性リンパ腫と感染性心内膜炎となった。患者は人差し指に痛みを覚えており、感染性心内膜炎の可能性が高い。患者が発症するオスラー結節は感染性心内膜炎の症状で、菌に免疫が反応し、できる痛みのある結節なのだという。感染性心内膜炎であれば心不全と発熱の説明はつくが、脾臓の腫れに結びつけるのは難しい。しかし脾臓が菌を処理するため活発に働き腫れることがあるため、最終診断は「感染性心内膜炎」となった。

 緑色連鎖球菌ゲメラは口の中や消化管に常在する弱い菌で、まれに心臓の弁につき、ゆっくり繁殖する。患者の心臓の弁には菌の塊が付着し、心不全を起こしていたという。患者は心臓弁を治す手術をうけて回復している。

 医師にとって重要なのは患者の生活をイメージできる問診であると説明。今回の問診を終えた研修医達は、「ファーストインプレッションは診断に向かうための一つの要素になる」と語った。

旭川地区在宅ケアを育む会

ファイル 4075-1.doc

日時:平成27年6月17日(水) 午後7時~8時45分

場所:旭川市市民活動交流センター ココデ旭川 大ホール
   旭川市宮前1条3丁目3番30号 TEL0166-74-4151
 
テーマ: 薬剤師のかかわり ~「がん」における連携~

司会:しろくま調剤薬局 横堀 博裕 

病院:医療法人社団 慈成会 東旭川病院 薬局長 里見 眞知先生

調剤薬局:株式会社旭薬調剤センター在宅医療室長  沼野 達行先生

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