6月4日、民間の有識者グループの日本創成会議が高齢者の移住についての提
言、「東京圏高齢化危機回避戦略」を発表しました。
これは、
・高度成長期に東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県の「東京圏」に流入した
住民の多くが高齢化し、75歳以上の後期高齢者が2025年時点で2015年比175万人
増の572万人に達する。
・現在は都内で不足している介護施設を周辺地域が補っているが、2025年には
1都3県すべての地域で大幅な不足に陥る。2025年に必要とされるベッド数は
46万床に上るのに対し、2015年の総ベッド数は33万床にとどまり13万床分が不
足する。
・東京圏で施設を整備しようとすると土地確保が難しい上、自治体などにコ
スト負担がのしかかる。
・全国で896の市区町村が人口減少によって出産年齢人口の女性が激減する
「消滅可能性都市」となる。
等の推計から、東京圏の高齢者を介護施設などが充実している地方都市への
移住を促すべきだとしたものです。
移住策の候補地には、函館、青森、富山、福井、岡山、松山、北九州など一
定以上の生活機能を満たした都市部が上げられていて、過疎地域は生活の利便
性などの点から除かれています。
この提言は、介護が必要な高齢者を移住させるだけではなく、健康なアクティ
ブシニアの移住も促すのが特徴で、移住後も地域の子育てや学習支援など地域
の活動に参画したり、空き家や空き商店などの既存施設を有効活用することで、
地方の活性化にも役立てようとしています。
ただ、東京圏側からは消費の担い手でもある高齢者が流出することについて
反発があり、一方、地方からは東京圏の問題を地方に押し付けないでほしいと
の声があり、「ウィン・ウィン」の関係になるのはなかなか難しいかもしれま
せん。