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自殺の男、年金に不満 ガソリン携行缶押収 巻き添え女性は窒息死

神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で起きた放火事件で、自殺した東京都杉並区の職業不詳林崎春生(はやしざき・はるお)容疑者(71)が年金の受給額に不満を漏らし、「生活できない。年金事務所で首でもつろうか」と、周囲に話していたことが1日、知人の女性への取材で分かった。6月中旬には顔見知りの区議に生活苦の相談もしていた。

 神奈川県警は1日、殺人と現住建造物等放火の疑いで林崎容疑者宅を家宅捜索。ガソリン運搬などに使われる金属製の20リットル入り携行缶1個を押収した。事件にガソリンを使った可能性が高いとみており、携行缶の購入先を調べ、ポリタンクに入れて車内に持ち込んだ液体の鑑定を進める。

 県警の1日の司法解剖で、林崎容疑者の死因は焼死、巻き添えで死亡した横浜市青葉区の整体師桑原佳子(くわはら・よしこ)さん(52)は気道熱傷による窒息死と分かった。林崎容疑者のポケットからは、自由席の乗車券や携帯電話が見つかり、リュック内の手帳には年金相談先の電話番号を手書きで記した紙片が挟まっていた。

 知人の女性によると、林崎容疑者は2カ月ごとに受け取る年金の額について「35年間払っているのに24万円しかもらえない。税金や光熱費を引くとほとんど残らない」とこぼし、事件前日の6月29日には、ポリタンクを持って「ガソリンスタンドに行く」とも語っていた。「暑いのにどうして(燃料が)必要なのか」と聞いたが、明確な返答はなかったという。

 県警によると、事件現場の1号車の車内カメラには、林崎容疑者が持っていたリュックサックからポリタンクを取り出し、中の液体を体にかける様子が写っていた。前日には自宅近くのガソリンスタンドの店員がポリタンクでの販売を断っていたことも判明した。

 林崎容疑者がその後、何らかの手段でガソリンを購入し、ポリタンクで車内に持ち込んだとみて、県警は事件に至る経緯を詳しく調べる。

 事件は6月30日午前11時半ごろ、新大阪行きの新幹線車内で発生。県警によると、カメラ映像から林崎容疑者が始発の東京駅から乗り込んでいたことも1日分かった。消防によると1号車は前方の天井パネルが数メートルにわたって剥がれ落ち、周囲が真っ黒になっていた。

生活「苦しい」、過去最高62.4%=平均所得は1.5%減―厚労省調査

2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%減(8万3000円減)の528万9000円となったことが2日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。生活が「苦しい」と感じている世帯の割合は14年7月時点で過去最高の62.4%に上り、同省は、同年4月に消費税率を8%に引き上げたことなどが影響していると分析している。
 1世帯当たりの平均所得はここ10年で最も低く、データが残る1985年以降では4番目の低さ。非正規雇用の増加などが背景にあるとみられる。
 世帯種類別の平均所得は、65歳以上の人のみか、65歳以上と18歳未満で暮らす「高齢者世帯」は2.8%減の300万5000円。18歳未満の子供のいるすべての世帯で見た場合は3.4%増の696万3000円だった。
 生活意識は、「大変苦しい」が29.7%、「やや苦しい」が32.7%。両者の合計が「苦しい」で、今回までの最高は11年7月時点の61.5%。一方「普通」は34.0%で、「ややゆとりがある」3.2%、「大変ゆとりがある」0.4%だった。 

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