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誤った薬飲まされ女性死亡 埼玉県熊谷市の特養、過去の事故も県に報告せず

熊谷市平戸の特別養護老人ホームで昨年12月、入所者の女性=当時(88)=が誤って渡された別の入所者の薬を服用後に嘔吐(おうと)し、誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡していたことが4日、県などへの取材で分かった。県は同施設に再発防止と改善を指導。県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。また、この事故を含む昨年発生した8件の事故について、施設が県への報告義務を怠っていたことも判明した。

 同施設や県によると、女性は入所翌日の昨年12月19日、朝食時に別の入所者が服用しているパーキンソン病治療薬を飲み、約1時間半後に嘔吐。病院に搬送され、3日後の22日に死亡した。診断の結果、薬の副作用で嘔吐した可能性が高いという。

 薬はケースに入れられ、朝食のお膳に乗せて女性に渡し、ホームヘルパー2級の資格を持つ男性職員(48)が飲ませた。別の入所者の名前を呼んだ時、女性が「はい」と応答したため、誤配してしまったという。女性は認知症を患い意思決定ができない状態で、高血圧のため血圧降下剤などを服用する予定だった。男性職員は事故後、体調不良などを訴え退職した。

 事故原因について、施設長は「職員の認識不足。利用者の方の顔と名前が把握できていなかった」と説明。チェック体制にも不備があった点を認め、謝罪した。施設は再発防止に向けて服薬に関するマニュアルを見直し、本人確認の徹底や職員の増配などの措置を講じているという。

 県が事故を把握したのは女性が死亡して1カ月後の今年1月16日で、女性の遺族からの通報が発端だった。県は同28日、施設の立ち入り調査を実施し、2月26日に文書で改善を指導。ほかにも過去1年で誤嚥事故など7件の事故が未報告だったことが発覚し、管理責任者の処分を求めた。

 

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