政府は17日、65歳以上の障害者が介護保険サービスを受ける際に支払う原則1割の自己負担を、低所得の人に限り軽減する方向で検討に入った。障害福祉制度で受けていたサービスを介護保険で使うと、同じ内容でも新たに負担が生じ、十分サービスを受けられなくなるとして問題になっていた。障害者総合支援法の改正案に盛り込み、来年の通常国会に提出する方針。
障害福祉制度では、市町村民税が非課税の低所得者の場合、サービス利用料はゼロ。しかし、介護保険では1割の自己負担が生じる。同じサービスであれば、介護保険が優先される原則があるため、新たな負担で生活を維持できない人や、利用料を支払えずサービスの利用を諦める人が出ていた。自治体を相手取った訴訟も起き、障害者団体も改善を求めていた。
軽減額などは今後詰めるが、年収が80万円以下で、介護保険の自己負担限度額が月額1万5千円となっている人を対象とする方向で調整。障害の重さや、どれだけ長い期間、障害福祉サービスを受けているかも軽減幅に反映させる意向だ。
障害福祉制度と介護保険ではサービス提供事業者が異なり、ケアの質が低下すると指摘されている問題もある。障害者が介護保険でも、使い慣れた同じ事業所の利用を継続できるよう、事業所に働きかける。
※高齢の障害者
厚生労働省によると、2009年~11年の調査に基づく推計の障害者数は約787万9千人で、05~08年の推計に比べ約43万7千人増加し、全人口の6・2%を占めている。65歳以上の高齢者の割合は全体の50%で、身体障害者では69%、知的障害者で9%、精神障害者で36%となっている。