◇家計苦しく治療できない子も
学校検診で虫歯などが見つかった府内の小中高校生のうち、半数以上が歯科を受診していない可能性があることが、2015年の府歯科保険医協会の調査で分かった。特に、初めて調査した高校生は86・9%で受診を確認できなかった。一方、虫歯が10本以上あるなど「口腔(こうくう)崩壊」の状態の子どもがいた学校の割合は高校では53・8%に達した。家計が苦しく、治療が受けられない子どももいるとみられる。同協会は子どもの医療費の無料化や助成拡大を自治体に求めている。
学校歯科検診は毎年、全国の小中高校で実施され、「要受診」とされた子どもは自分で歯科を受診し、治療結果などを学校に報告することになっている。同協会は12年から、公立小中学校を対象に、学校への報告状況などを尋ねるアンケート調査を実施。今回は初めて高校も対象に加え、府内の公立小中高校の大半に当たる計1618校に協力を依頼し、小学校192校(19・1%)、中学校88校(19・0%)、高校39校(26・2%)から回答を得た。
この結果、「要受診」とされた小学生の50・4%、中学生の69・0%が結果を学校に報告しておらず、受診の確認ができなかった。初調査となった高校生は86・9%と小中学生より悪かった。
また「口腔崩壊」の子どもがいた学校の割合は小学校で46・4%、中学校で35・2%だった。「『歯がない』と一目見て分かる児童が2人入学した」(府北部の小学校)、「虫歯が10本以上ある生徒が25人」(大阪市内の高校)など、深刻な報告も多数あった。
府によると、府内では31市町村が中学卒業まで通院医療費を助成しているが、無料にしている自治体はない。高校生にも助成しているのは寝屋川市、田尻町、豊能町の3市町だけだ。同協会の担当者は「歯科治療は1度で終わらない場合が多く、治療費の負担が診療を控える動きにつながっている可能性がある」と指摘する。