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乳幼児の舌小帯短縮症

1歳の息子。生後2カ月の時、耳鼻咽喉(いんこう)科で舌小帯(ぜつしょうたい)短縮症と診断されました。哺乳や食事に支障はないものの、成長してから発音に影響が出ないか不安です。医師からはひどい場合は手術も可能と聞きましたが、必要でしょうか。(富山県・M)

 ■答える人 宮新美智世(みやしんみちよ)さん 東京医科歯科大学准教授(小児歯科)=東京都文京区

 Q どんな病気ですか。

 A 舌の下側と口の底をつなぐ薄いひも状のものが舌小帯で、乳児期は大人に比べて厚くて短い状態です。成長に伴って舌の動きが巧みになり、舌小帯も薄くなって伸びますが、何らかの理由で短いままの状態が短縮症です。

 Q 生活への影響は。

 A かつては母乳がうまく吸えないなど哺乳障害との関係が疑われましたが、現在は否定的な見方が多いです。舌を前に出した時、舌先の真ん中がくぼんでハート形に見えるので、「ハート舌」と呼ばれることもありますが、元々先端がくぼんだ形の人もいるので、形だけでは診断しません。舌がどれぐらい動くかなど舌の機能で判断します。

 Q 発音について心配されていますが。

 A 子どもが正確な発音を身につけるのは5歳ごろです。発音に問題があり、舌小帯が原因と判断された場合は治療対象になりますが、頻度は高くありません。また5歳以降に治療を受けた上で、発音の訓練を始めても有効だという報告も複数あります。5歳まででも心配があれば言語聴覚士に相談してください。

 Q どんな治療ですか。

 A 手術で舌小帯を切って伸ばし、癒着を避けるために縫合します。周辺には傷つけたくない唾液(だえき)腺や血管が存在し、形成術や粘膜移植など全身麻酔が必要な症例もあり、低年齢ほど負担です。相談者のお子さんは1歳で、これから舌小帯が伸びる時期を迎える上、発音に問題がないことも多いので、成長を見守ってあげてください。

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