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独自の口腔ケアで誤嚥性肺炎を防ぐ精田紀代美さん 「時の人」

安価な道具を使った歯磨きや舌の掃除、指による頬の内側のマッサージ...。簡単な口腔(こうくう)ケアを考案し、7年前から地元の富山県内の高齢者施設で指導。唾液中の細菌などが引き起こす誤嚥(ごえん)性肺炎を激減させた。

 「口腔の機能を維持すれば、誤嚥性肺炎を防げるとは思ってたけど、こんなに効果があるとは。びっくりした」と笑う。

 独自の技法を編み出したのは、施設に依頼され、入居者のケアを自ら手掛けたのがきっかけ。「あたしたちがたまに行くんじゃ間に合わない。施設のスタッフが誰でもできるようにしないと」。専任を置かず、スタッフ全員が行うよう求める。「同じことばかりやってたら、嫌になるから」

 歯科衛生士として長年、県内各地の保健所に勤務。県庁に異動しデスクワークに就いていたとき、バイク事故に遭った長男が「やるべきことをやってないから、死ねんかった」とつぶやくのを聞いた。「あたしもやるべきことやってるか。現場に行かんならん」。退職して「人の口をきれいにする仕事」を始めた。

 簡単な口腔ケアを広めるため、全国各地で講座を開き、資格認定にも乗り出した。漫談風にケアを解説する「爆笑ライブ」の舞台にも立つ。

 精力的な活動のエネルギー源は、歯科衛生士の職能を確立したいとの思いだ。「治療を担う歯科医師の補助ではなく、予防の専門家として認めてほしい。そうなれば質も良くなる」

 富山市で夫と2人暮らしの66歳。ストレス解消策は庭の草むしりという。

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