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「咀嚼能率」低下とメタボに関係性

国立循環器病研究センターは11月9日、無作為抽出した都市部一般住民を対象に、規格化された方法で測定した「咀嚼能率」の低下と、メタボリックシンドロームとの間に関係があることを世界で初めて明らかにしたと発表した。この研究は、新潟大学、大阪大学との共同研究(吹田研究)の一環として行われたもの。同研究成果は、「Journal of Dentistry」に10月25日付で掲載されている。

 脳卒中、虚血性心疾患など動脈硬化性疾患は日本の死亡原因の第2位を占める。予防策として、肥満、血圧高値、高血糖、血清脂質異常などのリスク因子を包括したメタボリックシンドロームという疾患概念を基準にした特定健診制度が行なわれているが、効果は十分とはいえない。近年、口腔健康とメタボリックシンドロームとの関係が注目されており、この関連を明らかにして動脈硬化性疾患予防のための医科歯科連携を確立することは、有益と考えられるという。

 研究グループは、住民台帳から無作為抽出された50~70歳代の住民1,780名を対象に基本健診と歯科検診を実施。咀嚼能率の測定は、専用に開発されたグミゼリーを30回噛んで増えた表面積を算出する方法を用い、年齢、性別、飲酒、喫煙、歯周病などを調整した多変量解析を行って咀嚼能率とメタボ罹患率との関連性を分析した。

 咀嚼能率によって対象者を4群に分けて検討したところ、対象者全体では、最も咀嚼能率の高い群と比較して下から2番目の群でメタボリックシンドローム有病率が1.46倍高かった。さらに70歳代の対象者に限ると、咀嚼能率が低下したすべての群で1.67~1.90倍有病率が高かったという。

 今回の研究結果より、咀嚼能率を測ることによりメタボリックシンドロームのリスクを評価できる可能性が示された。今後、動脈硬化性疾患予防における新しい医科歯科連携の戦略に繋がることが期待されると、同研究グループは述べている。

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