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災害避難時の心構えは…室蘭市医師会が「救急の日」講演会

室蘭市医師会(稲川昭会長)が主催する「救急の日」講演会が9日、室蘭市東町の室蘭・登別保健センターで開かれた。市民らは医師の話を通し災害避難時の注意事項や、救急搬送時における円滑な連携づくりの重要性に理解を深めた。

 同医師会のほか室蘭保健所、室蘭、登別両市の主催。「救急の日」(9日)と「救急医療週間」(3日~9日)に合わせた市民啓発事業の一環。

 製鉄記念室蘭病院の大谷則史副院長は「災害避難所でのエコノミークラス症候群に対する心構え」、いくた内科クリニックの生田茂夫院長は「救急医療とスワンネット(医療情報連携)」をテーマに解説、市民ら約50人が耳を傾けた。

 大谷副院長は、災害避難時に多発傾向にある「深部静脈血栓症/肺塞栓(そくせん)(静脈血栓塞栓症)」を中心に解説。新潟中越地震(2004年)や東日本大震災(11年)、イタリア北部地震(12年)、熊本地震(16年)を例に挙げ、避難生活1、2週間で静脈内血栓が見つかったり、死亡したケースがあったことを紹介した。

 その上で、(1)簡易ベッドの導入で静脈血栓塞栓症の減少が認められた(2)長距離飛行機で移動する際に弾性ストッキング着用で、静脈血栓塞栓症の発症が減少した各データに触れ、「避難生活でも簡易ベッドと弾性ストッキングの活用で減らすことができる」と説明した。

 生田院長は、同医師会などで来年1月の導入を目指す「地域医療介護情報ネットワークシステム『スワンネット』」を取り上げた。西胆振地域の病院や医科歯科診療所、薬局、介護事業所などが住民の医療・保健情報を共有しており、「より安全で質の高い医療・介護・健康サービスの提供が可能」「情報共有によって救急搬送された際も安心」とし、「自らの健康のためぜひ参加を」と呼び掛けた。

◆―― 万一の備え「しっかり」

 室蘭市消防署(赤木裕之消防署長)の救命講習会が9日、同市東町の同市消防総合庁舎・防災研修ホールで行われ、参加者は講話や人形を用いた実践から万一に備えた応急手当ての方法を学んだ。

 市民ら16人が参加。消防署の工藤晃司さんがスライドを使い、要救助者を発見してから救急隊が到着するまで心肺蘇生(そせい)法を実施した場合、1カ月後の社会復帰率は約43%だが、救急隊が来てからの措置では約19%に低下すると説明。早急な応急手当ての大切さを説いた。

 人形を用いた心肺蘇生法の実践で、参加者は予想以上に力が必要な胸骨圧迫や人工呼吸に驚いていた。室蘭工業高校1年の柳沢永遠さん(15)は「小学生のころに経験したことがありますが、改めて人の命に関わる重要性を再認識した。万一の場合は積極的に救命活動に関わりたい」と気を引き締めていた。

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