避難生活で健康を脅かされるのは、高齢者だけではありません。万一に備えてどんな世代の方も、陥りやすい問題点があることを知っておきましょう。子どもへの影響は、被災地では局地的にむし歯が増えることです。避難所に集まる食べ物は、まずはカロリーの確保が第一で、おにぎりや甘い菓子パンなど糖質が中心。大人の目が届きにくいこともあり、それまでの食事や歯磨き習慣が簡単に壊れてしまうとか。通常の生活に戻っても、一度乱れた習慣は戻りにくいので、おやつのだらだら食べや、歯磨きを手抜きしていないか?注意して見守ってあげてください。大人世代にとって問題なのは、口腔ケアをおろそかにして、歯周病が進むこと。歯周病は自覚症状がなく進行するため、すぐに問題は表面化しませんが、悪化すれば歯を失う原因に。歯の本数が少なくなれば、健康寿命が短くなります。被災がそのきっかけをつくるケースも考えられます。高齢者に多い問題は口腔環境だけでなく、食事やトイレ以外じっとしている時間が多くなる、運動量の低下。足腰の筋力や、体力が落ちると同時に、動かないことでコミュニケーションが減ると気力や生きる意欲に関わります。
トイレの使用回数を抑えるために水分摂取を控えるのも危険です。運動不足と相まって、血液は血栓ができやすいドロドロ状態になり、関連死の原因で肺炎の次に多い、心筋梗塞や脳卒中の原因にも。もう一つ、世代を問わず気をつけたいのは、震災後に急増する口内炎。普段は軽視しがちですが、放っておくと口の中全体におよぶ口内炎になり、肺炎をはじめ全身の病気へとつながります。「震災後の口内炎は、ここまでひどくなるか!?と驚くほど。口内炎が悪化するプロセスは、肺炎が起こるプロセスと似ているので、災害時に限らず、若い方も自覚症状があれば早めの治療を!」とのこと。口の中の変化は、体調異変のサインと考えて、平常時でも注意してください。