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咀嚼の話≪歯の病気予防≫

咀嚼での効能を頭文字で表した「ひみこの歯がいーぜ」
「ひ」肥満予防、「み」味覚の発達、「こ」言葉の発音が良くなる。
「の」脳の活性化、に続き今回は「は」歯の病気予防です。

咀嚼をするとそれ自体が歯ぐきを鍛える運動になります。
あごを鍛える運動でもあり、唾液の分泌を促します。

唾液にはいろいろな作用があり、
酵素(アミラーゼ)は食物残渣を口腔から排除する作用があります。
タンパク質(ムチン)は歯のエナメル質に付着して被膜を形成し、
歯や粘膜の表面に付着することにより乾燥を防ぎます。
タンパク質(スタセリン)は歯に浸透して酸に対する抵抗力を強化し、
炭酸脱水酵素は歯の脱灰を抑制します。
カルシウムやリン酸はエナメル質を成熟させて
初期のむし歯のエナメル質を再石灰化させます。

また、唾液中の酵素(リゾチーム、アミラーゼ等)や
たんぱく質(ラクトフェリン等)は身体各部で抗菌作用を発揮し、
特にラクトフェリンはウィルスを直接攻撃するNK細胞を増殖させて、
抗ウィルス作用を発揮します。

唾液は歯垢のpHの中性化を強化する緩衝作用を持ち、
リゾチウム、ラクトフェリン等は口腔乾燥症やガン治療患者の
口腔内症状を軽減できるとされています。

唾液分泌量は咀嚼回数や咀嚼時間、咀嚼筋筋活動の増加に比例します。
咀嚼回数が20回未満では唾液分泌量の増加が見られず、20回以上で増加します。
柔らかい食事より硬い食事が唾液分泌量をより増加させます。

つまり、硬い食事を1口最低20回以上咀嚼することにより、
唾液の分泌量が増加し、歯や粘膜の乾燥を防ぎ、歯を保護する為、
むし歯になりにくく、初期むし歯を修復することが可能になり、
口内炎なども起こりにくいということになります。

「1口30回噛む」と言うだけなら簡単ですが、実際はなかなか大変です。
でも、噛むことで起こるたくさんの「良いこと」の意味が分かれば、
硬いものをしっかりと噛むことも苦じゃなくなるかもしれませんね。

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