咀嚼での効能を頭文字で表した「ひみこの歯がいーぜ」
「ひ」肥満予防、「み」味覚の発達、「こ」言葉の発音が良くなる、
「の」脳の活性化、「は」歯の病気予防に続き
今回は「が」、がんの予防のお話です。
咀嚼により分泌される唾液にはさまざまな効果があることは
今までにたくさんお話をしてきました。
唾液中の酵素にはカタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、
ペルオキシダーゼなどがあります。
ペルオキシダーゼは食物の発がん物質から生成される活性酸素を消去し、
また、その他発がん物質の変異原性をほとんど消去して
発がん性を抑制する働きがあります。
ペルオキシダーゼは活性酸素を消去する酵素で、
活性酸素は健康に重大な関係性を持ち、発がん、老化、動脈硬化、
糖尿病、心臓病などに密接に関係しています。
ペルオキシダーゼが活性酸素を消去する力は
体調により唾液中の活性が変化することがあります。
また、年齢にも関係し、55歳を過ぎるころから減少傾向にあります。
高齢者ほど発がん物質への防御力が弱いといえますが、
若い人の中にも弱い人がおり、弱い人は明らかに唾液中の
ペルオキシダーゼが少ないことが分かっています。
抗変異原性と発がん物質の不活性化作用は、
発がん物質を唾液中に最低30秒浸すことが必要になります。
つまり、咀嚼をして唾液の分泌量を増やし
ペルオキシダーゼの量を増やすことが大切になってきます。
更に効果を期待しようとするなら、
1口30回以上の咀嚼が必要になってくるということです。
1口30回噛むのはなかなか大変だと思いますし、
あまり噛まない方が美味しくいただける食べ物もあると思います。
しかし、耳下腺から分泌される刺激唾液は咀嚼回数、咀嚼時間等に
比例しますので、やはり「たくさん噛む」ということは大切です。
▼参考:日本咀嚼学会雑誌「咀嚼とがん予防-唾液による活性酸素消去の研究から」
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/g0ennlu0asnb0vuo3jgO9