コーヒーにはさまざまな健康効果が報告されているが、1日に何杯飲むべきなのかという問いに、いまだ答えは得られていない。今回、新たな研究で、コーヒーの摂取量が多い人は早期死亡リスクが低下し、この効果は1日8杯以上のコーヒーを飲む人でも認められることが分かった。また、こうしたコーヒー摂取による寿命の延長効果は、カフェインの有無にかかわらず認められたという。詳細は「JAMA Internal Medicine」7月2日オンライン版に掲載された。
この研究は、米国立がん研究所(NCI)のErikka Loftfield氏らが行ったもの。同氏らは、英国の地域住民を対象とした大規模なコホート研究である英国バイオバンクに参加した成人49万8,134人(平均年齢57歳、女性54%)を対象に、2006年から2016年まで追跡してコーヒーの摂取量と死亡率との関連を調べた。なお、対象者の78%にはコーヒーを飲む習慣があった。
10年以上の追跡期間中に1万4,225人が死亡した。解析の結果、コーヒーの摂取量が多いと全死亡リスクは低下することが分かった。コーヒーを全く飲まない人に比べて、1日8杯以上飲む人は、追跡期間中に死亡するリスクが14%低く、1日6~7杯飲む人はリスクが16%低かった。一方で、1日1杯以下の人では全死亡リスクの低下は6~8%にとどまっていた。
また、コーヒーの摂取による寿命の延長効果は、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーだけでなく、カフェインレスコーヒーでも同様に認められた。さらに、カフェインの代謝に関係する遺伝子多型の違い(カフェインの分解が遅いため多くは飲めない人、あるいは代謝が速く多く飲める人)で効果に差はみられなかった。
このことから、Loftfield氏は「コーヒーにはカリウムや葉酸をはじめ、身体に影響を及ぼす化学物質が1,000種類以上含まれている。今回示されたコーヒー摂取による早期死亡の抑制効果は、カフェイン以外の成分によるものである可能性が高い」と説明している。また、この結果はコーヒー好きには朗報だが、コーヒーを飲まない人が寿命が延びることを期待して、わざわざ飲み始める必要はないと付け加えている。