酒気帯び運転で運転免許を取り消された静岡県内の40代男性が、「入れ歯の安定剤に含まれるアルコール成分が呼気検査に影響した可能性がある」として、処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。白石史子裁判長は男性の主張を認め、処分を取り消した。
判決によると、男性は2015年3月と5月、静岡県警に酒気帯び運転で摘発された。呼気検査では、1リットル中のアルコール濃度がそれぞれ0・15ミリグラム以上と0・3ミリグラムで、違反点数の累積で免許を取り消された。一審・静岡地裁判決は、男性が前夜に飲酒をしていたことや、警察による実験では検知したアルコールが極めて少なかったことから、「安定剤の影響はない」と男性の請求を棄却していた。
一方、高裁は男性が入れ歯をつけてから20~30分後に車を運転した点に着目。静岡地検が今年3月に行った実験で、男性が入れ歯を装着してから約27分後の呼気検査で0・15ミリグラムを検知したことも踏まえ、男性の体内に「(違反になる程度の)アルコールがなかった可能性がある」と判断した。
男性は道路交通法違反の罪で起訴され、一審で有罪となったが、二審の東京高裁が6月、同じ理由で逆転無罪の判決を言い渡していた。