唾液を検体に使って新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査法を厚生労働省が早ければ5月中に認める方針であることが11日、分かった。現在主流となっている鼻の奥の粘液を綿棒で取る方法よりも安全で簡単に検体を採取でき、検査数を増やせる可能性がある。国立感染症研究所が作っている検体採取のマニュアルを近く変更する。
鼻の奥の粘液を取る方法は、せきやくしゃみが出やすいため、検体を採取する人が感染するリスクが高い。このため感染防止策を徹底して検体採取を行わなければならず、検査体制拡充の足かせとなっている。日本医師会(日医)も唾液によるPCR検査の実用化を求めていた。
政府関係者によると、唾液を使う場合、医師が舌を綿棒で拭ったり、検査を受ける人自身が唾液を容器に出して医療機関に持って行ったりする方法が検討されている。
唾液を検体として使えるかどうかは、国内外で研究が進められている。北海道大の豊嶋崇徳(てしま・たかのり)教授(血液内科学)は4月下旬以降、従来の手法でPCR検査を実施して陽性と確認された約10人に対し、唾液を検体としてPCR検査を実施したところ、9割以上で陽性になったという。
豊嶋教授は「新型コロナは、インフルエンザに比べて唾液にウイルスが多く存在するのが特徴。味覚障害を訴える感染者が多いのもそのためと考えられ、唾液を検査に使うのは有効だ」と話す。従来と異なるのは検体採取の方法だけで「唾液は採取が簡単。PCR検査における障害の一つを取り除ける」と強調する。