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整形外科医が消毒、歯科医が問診も - 若林健二・医科歯科大病院長補佐に聞く

重症者を中心に計50人以上の入院患者を受け入れてきた東京医科歯科大学医学部附属病院では、診療科・職種を問わずに総力を挙げて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いに臨んでいる。


ICUでのCOVID-19治療風景(東京医科歯科大学医学部附属病院提供)
 集中治療部として、COVID-19への対応を考えたとき、全科横断での体制構築は不可欠でした。呼吸不全の患者の場合、通常は呼吸器内科や救急科で処置を施し、その後は集中治療部が診るという流れですが、それだけでは絶対に人手は足りません。

 中等症は呼吸器内科中心に、重症は救急科中心にチームを作り、集中治療部はシステム構築を担っています。基本的に単科では無理なので、各チームに応援の医師が投入されています。内科系の多くは中等症に、循環器内科や外科系は重症に充てています。

 麻酔科は24時間体制で挿管と脱管の全ての責任を負っています。

――医師総出でCOVID-19診療に当たっているのですね。

 全ての医師が診療に当たっているというわけでもありません。非常時なので、職種という概念も捨てる必要があります。

 例えば整形外科医。手術が減るので手が空くけど、呼吸不全の診療が得意とは言えません。そこでバックヤードチームを作り、逆タスク・シフトを行っています。

――逆タスク・シフトですか。

 はい。実はCOVID-19患者が出た後の部屋の掃除などは、通常の外部の業者がやってくれないのです。となると、看護師が掃除することになります。でも今、一番のボトルネックは看護師の数になっています。そこで、整形外科医が感染制御部の指導を受けて、部屋の掃除や消毒をしています。

 さらに、病院の入り口には歯科医が立っていて、来院者に対して、発熱などの症状があったら教えるよう呼びかけ、場合によっては問診もします。サーモグラフィーもチェックしています。 皆さん、快く協力してくれています。

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