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自閉スペクトラム症:5歳児30人に1人、自閉スペクトラム 弘前大研究

5歳児のおよそ30人に1人の割合で自閉スペクトラム症(ASD)があるとの調査結果を、弘前大の斉藤まなぶ准教授(児童精神医学)らの研究チームがまとめ、英学術誌に発表した。未就学児のASDの推定割合が明らかになるのは国内で初めて。

 調査は2013~16年の4年間、青森県弘前市で5歳児健診を受けた子ども計5016人を対象に実施。子どもの発達度合いを尋ねる調査票を保護者や保育者に配り、3954人分の回答を得た。さらにその中から、ASDを含む発達障害の傾向がみられた子どもと保護者が検査を希望した子ども計559人に対し、米精神医学会の診断基準に基づく発達検査を行った。

 その結果、87人がASDと診断された。また、調査票には回答しなかったものの、健診で発達障害の可能性があった子どもの数なども考慮したところ、全体の割合は3・22%と推計されたという。1年ごとの割合に目立った増減は見られなかった。チームは「国内全体でも同様と見込まれる」としている。

 87人のうち28人は5歳までに発達の遅れを指摘されたことがなく、制度上の支援を受けていなかった。また、77人(88・5%)はASDのほかに、発達性協調運動症(63・2%)▽注意欠如・多動症(50・6%)▽知的発達症(36・8%)――など一つ以上の発達障害を併せ持っていた。

唾液でPCR検査実施 安全に採取、迅速化 厚労省、体制点検も要請

加藤勝信厚生労働相は2日の閣議後記者会見で、唾液を検体に使って新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査の実施を同日から認めると発表した。症状が出てから9日以内の人が対象で、厚労省は都道府県に通知した。現在主に行われている鼻の奥の粘液を綿棒で取る方法よりも、安全で簡単に検体を採取できるのが利点。より多くの人を迅速で効率的に検査できるようになると期待される。

 また厚労省は、各都道府県に対して今後必要となる検査数を推計し、それに対応できる体制が整っているかどうかを6月中旬までに点検するよう要請することも明らかにした。2日午後に示す指針に盛り込む。

 国立感染症研究所が作成する検体採取のマニュアルを変更し、厚労省は2日から公的医療保険の適用対象にする。日本は欧米諸国と比べてPCR検査の実施が立ち遅れているとの指摘があり、唾液を使った検査の導入でこれを解消する狙い。

 加藤厚労相は「鼻の奥の粘液をぬぐうのに比べて、患者の負担も、検体採取機関の感染防御の負担も大幅に軽減される」と述べた。

 綿棒で粘液を取る従来の方法は、せきやくしゃみが出やすく、検体を採取する人が感染するリスクがある。ゴーグルやガウンなどを着用して十分な感染防止策を取る必要があり、検査体制を拡充する上で課題となっていた。

 唾液を検体として使う場合は、検査を受ける人に医療機関などで唾液を容器に出してもらうだけで済む。十分なウイルス量を得るため、直前の飲食や歯磨きは控える必要がある。検体採取の手順以外は検査方法に大きな変更はない。

 全国の専門外来や地域のPCR検査センターで実施できるほか、院内感染を防ぐため医療機関内で症状が出ている患者や医療スタッフを検査する場合にも活用される。

 唾液は鼻の粘液に比べてウイルス量が少なく、検査精度が低いとの懸念もあった。だが、厚労省研究班が新型コロナの患者88人から取った唾液を使って検査精度を従来の手法と比べると、発症から9日以内なら判定結果がほぼ一致した。

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