歯科医師会経由などで、歯科医院にも接種の意思表示の手続きが進む中、「スタッフ全員にワクチン接種させることは可能か」などの相談が急増しているという。労働法制上、こうした問題はどのように解釈したらいいのか歯科医師で臨床経験も豊富な弁護士の小畑 真 氏に聞いた。
スタッフ全員へのワクチン接種は、感染予防になるだけでなく、患者に安心感を与えられると期待されるが、副反応が不安なスタッフもいる。法的には、新型コロナウイルスのワクチン接種は任意のため、強制することはできない。そのため「接種しなければ減給」とか、「未接種者は勤務時間を減らす」などのペナルティを課すこともできず、パワーハラスメントと認定される可能性が高い。また雇用契約や就業規則に「接種の義務化」とすると、重篤な副反応がでた場合の賠償責任を医院が負うことになる。ただし、ペナルティではなく「接種したら手当てを支給」というインセンティブで誘導することは可能だが、接種費用はもちろん、副反応のリスクも医院が負うものと考えられる。
(歯科通信)