新型コロナウイルス禍の外出自粛によって高齢者の身体機能の低下(フレイル)が懸念されています。高齢者の外出を支援する、「移動」をめぐるさまざまな技術開発が加速しています。
エクサホームケアが普及を進めるアプリ「ケアコチ」は歩行の動画から衰えた部位を解析し転倒などを防ぐツールです。高齢者に、独り歩きと歩行器を使った時の2回、5メートルを歩いてもらい、その後ろ姿を撮影。動画からAIが肩や脚の13箇所を検知して歩行器の有無によってできる歩行の速度やリズム、脚の上がり方の違いを解析して転倒リスクの高さを判定します。
ヤマハ発動機は、千葉大学と共同し、低速の電動車両を使って高齢者の外出や社会参加を促し、その結果、健康や介護予防にどう寄与するかを検証する研究を始めると発表しました。研究では運転手を含めた定員7人の低速電動車両を定期路線バスのように巡らし、移動の範囲がどのくらい広がったかを見ながら、各種の健康指標、心の状態が実験の前と後でどう変わったかを検証します。
過疎化で公共交通機関が乏しい地域が増える中、地域の足として低速電動車両の意義を明確にして普及を促したい考えです。
電動車いすのメーカー、WHILLは折りたたみができて、持ち運びがしやすい軽量の電動車いすを発表しました。イスのようなシンルな構造で、重さは27キロと以前のタイプと比べて半分程度です。簡単に折りたたむことができ、タクシーの後部座席に載せることもできます。
高齢者が家に閉じこもる状態が続くと、認知症やうつ病などを発症するリスクが高まり、要介護にもつながりかねません。高齢者の外出を支援する活動が広がることが期待されます。