【ニューヨーク共同=稲葉俊之】国連は11日、世界人口デーに合わせて発表した世界の人口に関する報告書で、今年11月半ばまでに世界人口が80億人に達し、2023年にはインドの人口が中国を超えて世界最多になるとの見通しを明らかにした。新型コロナウイルス流行の影響で平均寿命は19年の72・8歳から昨年には71・0歳に落ち込んだという。
国連によると、多くの国で出生率が低下し、20年には人口増加率が1950年以降で初めて1%を下回った。世界の人口は2080年代に約104億人となってピークを迎え、2100年まで横ばいに推移する。
現在、中国の人口は14億2600万人、インドは14億1200万人で、50年にはインドが16億6800万人、中国が13億1700万人と推計している。インドでは人口増加率が減っているが、乳幼児死亡率も低下を続けている。中国では1979年に「一人っ子政策」を導入したが、少子高齢化が進み、2016年に廃止した。
人口分布では東アジアと東南アジアの合計が23億人と全体の29%を占め、最も多かった。サハラ砂漠以南のアフリカの人口が現在の11億5200万人から50年までに20億9400万人と約2倍になり、その間に世界で増える人口の約半分を占める。最貧国が多く、報告書は「子どもたちに学校や医療、若年層に良質な教育や雇用機会を確保しなければならない」と指摘した。
世界の人口は1987年に50億人、98年に60億人、2010年に70億人に到達した。
国連のグテレス事務総長は、新型コロナや気候変動、戦争などで世界は危機的状況にあるとしつつ「寿命が延び、母子死亡率を大幅に低下させた保健衛生の驚くべき進歩をたたえる時だ」と表明した。
※世界の人口
世界人口が10億人になったのは19世紀初め。第2次大戦後、発展途上国で多産傾向が変わらないまま保健医療が改善されたため人口爆発が起き、1950年代に世界人口が急増し始めた。国連によると87年に50億人、98年に60億人、2010年に70億人に到達した。近年は多くの国で出生率が低下、人口増加ペースは下がっている。(共同)