愛媛県立病院は17日、かみ合わせを矯正するための下顎(したあご)の手術を受けた同県の10代女性が医療事故で死亡したと発表した。同院は救急医との連絡体制に問題があった可能性があるとして改善策を示した。
同院によると手術は2022年2月で、遺族との示談成立に合わせて公表した。手術自体に問題はなかったが2日後の未明以降に女性から強い吐き気や口腔(こうくう)内などの腫れによる呼吸困難の訴えがあった。看護師が当番医師に電話で連絡し、医師は経過観察を指示。救急医に連絡する仕組みはなく、約1時間後に急変して呼吸が停止した。救命措置を施し、救急医の到着後に人工呼吸器を付けて治療を続けたが、手術から20日後に上気道閉塞(へいそく)による低酸素脳症で死亡した。
同院は院内の専門部会を開き調査。女性の急変は一般的な経過ではなかったものの、早い段階で院内の救急医らが対処できていれば救命できた可能性があったとした。再発防止のため、急変前の前兆を救急医に連絡しやすくする院内迅速対応システム(RRS)を同年10月から導入した。院長は「患者を救命できず、信頼を裏切った」として陳謝した。