厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、2021年
10月末時点での日本における外国人労働者数は1,727,221人で過去最高数を記
録しています。この増加傾向は、東日本大震災の翌年、2012年の約4,000人の
減少を除けば、2008年以降、基本的には右肩上がりを続けています。なかでも
急増しているのがベトナム人材で、これは2019年に日本とベトナム間で「特定
技能を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協
力覚書」が交わされたのが理由です。2019年には401,326人だった日本就労中
のベトナム人材数が、2022年には462,384人にまで増加し、この数字は日本に
おける外国人労働者数第1位となっています。
この背景には、国内における生産労働人口の減少、人手不足もありますが、
多様な人材が活躍するダイバーシティ経営を目指した外国人材の採用も要因に
挙げられます。特に高度な知識や能力を持った高度外国人材は、企業の生産性
向上やイノベーションの推進に貢献する存在として注目され、海外の新規事業
展開や日本人と異なる発想での新商品開発など、日本人社員にもカンフル剤と
なっています。経済産業省で紹介されている具体的な事例では、産業用特殊ポ
ンプの設計・製造・販売をおこなう本多機工株式会社が、2008年にグローバル
展開のためにチュニジア人を採用し、延べ14人の外国人材を採用。その結果、
海外ユーザーに現地語で対応が可能となり、きめ細かなアフターフォローが評
判となりました。さらに海外の新規顧客獲得や仲介業者・中間コストの削減に
も成功し、現在では海外売上比率が約6割にまで増加しています。またプラス
チック製品を扱うフルヤ工業株式会社は、長年に渡りベトナム人材を受け入れ
ていますが、2017年に国内で確保できなかった金型の技術者をベトナムから日
本に呼び寄せたことがエポックメイキングとなり、家族も日本に呼び寄せスキ
ルアップした結果、今では企画や開発に欠かすことのできない技術者へと成長
しています。
さらに、最近では専門学校に通う外国人留学生の就職先を大学卒の留学生並
みへ方針を転換する動きもあり、日本における外国人材の多様な活用について
は、今後ますます広がりを見せると期待されています。