厚生労働省は9日、唇などに裂け目がある先天性疾患「口唇口蓋裂」の患者への支援拡充を検討するため、有識者会議の初会合を開いた。18歳になると、医療費補助には身体障害者手帳の取得が要件となる。しかし口唇口蓋裂の専門医が少ないことなどから、手帳を得られず支援を受けられない患者は多く、対応策を協議する。
患者は、心身の障害を緩和するための「自立支援医療制度」の対象で、医療費の自己負担が軽減される。ただ18歳を境に要件や枠組みが変わり、身体障害者手帳を取得しなければならない。
手術などが必要な人は、医療費の補助がなければ経済的な負担が大きくなる。患者や家族は、17歳までと同様に手帳がなくても支援を受けられるよう改善を求めている。
厚労省は初会合で、治療施設に対する調査結果を公表。18歳以上の患者500人のうち、手帳を取得して自己負担を軽減されていたのは17%に当たる86人にとどまった。残りの人たちは支援の対象外で、理由は専門医の不足や、障害の状態が手帳交付の基準を満たさないことなどだった。
今後、口唇口蓋裂以外の疾患についても、同様の課題があるかどうか調べる方針を示した。