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蜂窩織炎/丹毒の一般的な原因菌 ─年齢と罹患部位によっても変わりますか?

蜂窩織炎と丹毒の一般的な原因菌
 原因菌の同定には培養検査が必要である。蜂窩織炎/丹毒の培養源としては血液培養、感染部位針吸引、皮膚生検、膿疱/膿瘍、壊死を伴う場合の手術検査体などが候補になお、蜂窩織炎で血液培養が陽性になる割合は約2~8%と低く、アメリカのガイドラインではルーチンの血液培養は推奨されていない1、2 )また、膿瘍形成にまで続く症例は稀である。そのため、原因微生物が同定されるのは約15~30%と多くはない2、3)。

 伝統的にはレンサ球菌と黄色ブドウ球菌が蜂窩織炎の二大起炎菌であるとされている1)。成人の蜂窩織炎患者における血液培養の結果を報告した研究では、最も多く検出されているたのはレンサ球菌(7.1%)で、黄色ブドウ球菌(3.2%)や陰性桿菌(2.8%)よりも多く単離されていた4)レンサ球菌においてはランスフィールド分類のA群レンサ球菌が最も一般的とされるが、B、C、F、G群など他のグループからも蜂窩織炎が起こる2、3)。

 レンサ球菌と黄色ブドウ球菌のどちらが起炎菌であるかの臨床所見から推定する方法として、皮下膿瘍形成の有無に着目する方法が紹介されている。形成を伴う軟部組織感染症では76%が黄色ブドウ球菌によるもので、約60%が市中型のメシシリン耐性黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌):MRSA)によるものであった。一方、膿瘍非形成の症例はレンサ球菌によるものが多かった1)。

 以上より、蜂窩織炎の原因菌としては、一般的にレンサ球菌が多いと考えられるが、膿瘍を形成している症例ではMRSAを含む黄色ブドウ球菌の関与を疑う必要があると考えだろう。

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