年を取って心身の活力が低下した要介護の手前の状態である「フレイル(虚弱)」予防の啓発方針を、自治体関係者や研究者らでつくる「フレイル予防推進会議」がまとめた。「栄養」「身体活動」「社会参加」の3本柱を提唱。日常生活の工夫で予防ができ、健康寿命も延ばせるとして、地方自治体などに資料の活用を呼びかける。
フレイルとは(1)半年で意図しない2キロ以上の体重減少(2)筋力低下(3)直近2週間の理由のない疲労感(4)歩く速度の低下(5)身体活動低下―のうち三つ以上に当てはまる状態を指す。
3本柱のうち栄養に関しては、1日3食を欠かさず、そのうち2回以上は主食、主菜、副菜を組み合わせた食事を取ること、エネルギーとタンパク質、ビタミンDを含む多様な食品を選ぶことを勧める。定期的に歯科を受診し、かみ応えのある食べ物を取って口の機能の維持を意識する。
身体活動の項目では掃除や庭仕事、買い物といった生活の中での活動量を増やし、ウオーキングなどの有酸素運動と筋トレを取り入れるよう促す。
社会参加も大切で、趣味や学習などの文化活動、ボランティア活動、就労への挑戦を提案する。こうした心がけで、1人で食事をするような環境を避け、誰かと一緒に過ごす機会を増やすことが予防に役立つとした。
作成に関わった東京大の飯島勝矢(いいじま・かつや)教授(老年医学)は「三位一体で生活に少しずつ足して取り組む必要がある」と話す。健康診断の結果が良くても油断は禁物で、要介護につながる筋肉の衰えに注意が必要だという。