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「やぶ医者大賞」にメス、語源の名医が住んでいた兵庫・養父市長が中止表明…「市民に恩恵あるか」

地域医療に貢献する医師をたたえるため兵庫県養父市が開催してきた「やぶ医者大賞」について、大林賢一市長は2025年度は中止にすると明らかにした。「費用対効果を考えた。今後、市民に恩恵があるような内容が考えられれば再開も考えたい」としている。

 同賞は、かつて養父にいた名医が「やぶ医者」の語源になったとの説にちなんだ賞で、全国の医師や歯科医師を対象に選考。これまでに過疎地の診療所の医師ら22人が受賞している。

 大林市長は昨年10月の記者会見で、「市民にとって必要なのかどうか。事業の廃止も含めて見直しを検討したい」と述べていた。今回、当初予算案への事業費計上を見送った。

「歯が浮いた感じがしたり、変に冷や汗が出たりするんですよね」と言われ…

症例は72歳男性で、外傷歴はないものの、1週間前から左肩関節痛を主訴に時間外外来受診。既往は高血圧、高脂血症、糖尿病がありました。喫煙歴は毎日40本を50年以上続けるヘビースモーカーです。

 左肩腱板損傷、石灰性腱炎を鑑別疾患として思い浮かべながら、まずはX線を撮影しました。X線上で左肩腱板付着部に石灰化を認め、患者さんに「ここに白く写っているのが、カルシウムが沈着しているところです。石灰性腱炎の可能性が高いでしょう。鎮痛薬を処方しますので服用してください」と説明し、帰そうとした矢先のことでした。患者さんが「ありがとうございました。そういえば最近歯が浮いた感じがしたり、変に冷や汗が出たりするんですよね」と言いました。その言葉に引っ掛かった私は、「すいません、ちょっと気になるので検査を追加させていただいてよろしいでしょうか?」とお願いし、患者さんに快諾していただいたので血液検査と心電図を追加しました。

 すると驚くべきことが……。採血上もCK・CK-MBが上昇しており、心電図上でもST変化を認めました。急いで循環器内科の先生に連絡して状況を説明。快く診察依頼を引き受けてくださり、やはり狭心症で間違いない、ということになりました。残念ながら当時の病院は夜間緊急カテーテルをできる体制ではなかったので、他院に紹介して緊急カテーテル検査をしていただくことになりました。

 このときの反省点としては、もし患者さんが「歯が浮いたような感じ」、「冷や汗」というパワーワードを言っていなければ、おそらく見過ごしていました。正直なところ、X線で石灰化を認め、「お、これは石灰性腱炎で間違いないな」と思っていたことは事実です。患者さんは見た目も元気で、自分の足で受診されたため、そこまでの重症感は全くありませんでした。

 しかし、既往歴や喫煙歴、年齢的にもちょっと引っ掛かったところはあったので、やはり問診は大事です。今回のケースでは、もし私が追加の検査のことを言った際に激怒されていたら、そのまま帰していたでしょう。時間外でかなり疲れていたのも事実で、このような時には悪魔が耳元で囁くものです。ですが、何かおかしいなと思ったら、当初の鑑別疾患の所見があったとしても、さらに調べる方がいいでしょう。

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