記事一覧

水銀含む銀歯、34年末禁止 水俣条約会議、規制強化

【ジュネーブ共同】水俣病の原因である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」のスイスでの第6回締約国会議は7日、銀歯として虫歯治療に使う「歯科用アマルガム」の製造や輸出入を2034年末までに禁止することで合意し、閉幕した。既に段階的削減の対象だったが、規制を強化した。水銀の排出を減らす一層の努力を国際社会に求めた。

 欧州連合(EU)は、水銀を含んでいるアマルガムの使用を法律で禁止。カナダや米国などで安価な治療法として使われている。日本では16年に保険適用から除外され、現在は製造されていない。環境省やNPO法人「日本歯科保存学会」は、アマルガムを使っている人でも虫歯の再発などがなければ除去する必要はないとしている。

 会議はスイス西部ジュネーブで3日に開幕。既に禁止が決まっている水銀を含む化粧品についても、違法な取引を防ぐ国際協力で合意した。日本は、水銀に汚染された廃棄物の管理を監視する方法について決議案を出すなど議論を主導した。期間中の関連イベントには熊本県立水俣高(水俣市)の生徒らが登壇。水俣病の原因企業チッソを設立する契機となった曽木発電所の遺構(鹿児島県伊佐市)の見学といった学習内容を発表した。

 条約事務局によると、年間約1500トンの水銀や水銀の化合物が工業生産の過程で使用される。小規模な金鉱業では年間2千トン以上の水銀が排出されている。

 水俣条約は17年8月に発効。現在は米国や中国を含む153カ国・地域が加盟している。

 条約名の由来となった水俣病は熊本県水俣湾周辺で発生し、1956年に公式確認。65年には新潟県の阿賀野川流域で起きた新潟水俣病も公式に確認された。ブラジル北部のアマゾン地域でも同様の症状が報告されている。

国民皆保険制度の堅持へさらに前進  新政権にも期待寄せる

日歯は10月23日、定例記者会見を歯科医師会館で開いた。
挨拶で高橋英登会長は、高市早苗新総理について、緊急的な補正予算で医療機関を援助することや、予防医療として国民皆歯科健診事業を拡充するといった発言から、歯科界を理解いただいており、これからも連携を深めていきたいと話した。
また、病院に比べて歯科診療所は経済的基盤が脆弱であるとし、異常な物価高騰の中でも高額な医療機器を導入するなどして医療の高度化に対応している厳しい現状を説明した。その一方で、口腔内環境が全身疾患に大きく影響すること、8020達成率が61.5%となり、歯科医療が全身の健康に寄与することが国民に認知されている状況で、高度な歯科医療の提供に歯科界が奮闘していることをもっと周知したい考えを示した。
さらに、48兆円台に達した総医療費をより効率的に運用すべく、持続性のある皆保険制度の堅持のために日歯ができることを精査し、日本を救うためにもこの苦境を乗り越え、前に進んでいくと述べた。
会見ではこの他、大杉和司常務理事が、会員を対象に実施した令和7年歯科診療所の緊急経営調査について説明。中医協をはじめとした政府審議会の今後の議論に備えるため、歯科診療所における経営状況を把握し、診療報酬改定への政策提言等を行うための基礎資料とすることを目的に、今年8月から9月にかけて調査を実施し、歯科診療所開設者約550名から回答を得たことを報告した。
詳報は、日歯広報第1864号(令和7年11月15日付)に掲載予定。

佐藤保・元日歯副会長らが受章  令和7年秋の叙勲受章者

令和7年秋の叙勲受章者がこのほど発表され、佐藤保・元日歯副会長が旭日中綬章を受章したのをはじめ、旭日章を27名、瑞宝章を27名の日歯会員が受章した。
受章者一覧は、日歯広報第1864号(11/15付)に掲載。

厚労省、次期改定の基本方針を提示 「診療報酬上求める基準の柔軟化」と明記

厚生労働省は10月23日の社会保障審議会医療保険部会で、2026 年度の次期診療報酬改定における基本方針を提示。「物価や賃金、人手不足などの医療機関等を取りまく環境の変化への対応」を重点課題として位置づけた。具体的な対応の方向性として、「医療従事者の処遇改善」「業務の効率化に資するICT、AI、IoT 等の利活用の推進」「タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」「医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策」に加え、「診療報酬上求める基準の柔軟化」を公表資料に明記。深刻な人手不足を踏まえると、人員配置基準の緩和に踏み切る可能性が出てきた。

高額療養費の自己負担見直しに向け 厚労省が3つの論点を提示

厚生労働省は10月22日の「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」で、高額療養費の自己負担のあり方について3つの論点を提示した。その中で、これまで同委員会や医療保険部会での展開されてきた議論を踏まえて「セーフティネット機能として患者になくてはならない制度として認識が一致している」としたものの、1,000万円以上の高額レセプト件数が近年急増している現実もある。 今後も医療費の増大が見込まれる中で、患者の経済的負担に配慮したセーフティネット機能を保つ制度設計ができるかどうかが問われている状況だ。

2型糖尿病患者に朗報 ― 歯間清掃で血糖コントロールが改善 ―

2型糖尿病の方が週3回以上の歯間清掃(デンタルフロスや歯間ブラシなど)を行うと、1日を通して血糖値が低く、さらに歯が20本以上残っている人では、血糖管理の指標であるGMI(グルコース・マネジメント・インジケーター)も良好であることがわかった。

 この研究は、サンスターグループと南昌江内科クリニック、南糖尿病臨床研究センターによる共同調査で、国内のクリニックに通う2型糖尿病患者104名を対象に行われた。腕に装着するセンサーで14日間の血糖変動を測定し、歯の本数や歯みがき習慣との関係を調べた。

 その結果、
・定期的に歯科を受診している人ほど、HbA1cや空腹時血糖、BMI(体格指数)が低い
・毎日しっかり歯みがきをしている人では、炎症マーカーや尿中アルブミンの値が低い
・歯間清掃をよく行う人は、血糖が安定している時間(TIR)が長く、血糖値の上下が少ない
 ―といった傾向が確認された。

 さらに、歯が20本以上残っている人では、血糖値の変動が少なく、一日を通してより安定していることも明らかになった。


 これらの結果から、歯みがきだけでなく歯間清掃を習慣にすることが、血糖コントロールにも良い影響を与えることが示唆された。
 研究成果は、米国糖尿病学会の学会誌『Diabetes Spectrum』(2024年8月28日オンライン版)に掲載された。                 
【メディファクス】

「過去データに誤り」 消費税負担分の診療報酬補填

10月8日の中医協総会で、厚生労働省は令和2年度から令和4年度にかけての診療報酬による消費税負担分の補填率に関する集計に誤りがあったことを認めた。

 令和5年度・6年度分の診療報酬改定に向けた補てん率把握のための作業の過程で、明らかになったもの。3年度と4年度の支出に「水道光熱費」を計上していなかったほか、収入で「生活保護法等の公費負担医療分」を計上していないことが分かった。
 歯科診療所では、2年度の補填率が103.4%から105.9に上がっているものの、3年度は103.2%から97.6%に、4年度も105.4%から99.5%に下がっていた。
                                 【歯科通信】

12月から9品目引き上げ  歯科用貴金属価格随時改定  中医協総会

中医協総会が10月17日に都内で開催され、令和7年12月からの歯科用貴金属材料の価格改定について、9品目で引き上げすることが報告された。
今回の告示価格案(1グラム当たり)では、歯科鋳造用14カラット金合金インレー用(JIS適合品)が1万3,287円、歯科鋳造用14カラット金合金鉤用(JIS適合品)は1万1,978円、歯科用14カラット金合金鉤用線(金58.33%以上)は1万2,073円、歯科用14カラット合金用金ろう(JIS適合品)は1万2,062円で前回より、それぞれ700円の引き上げとなった。
歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金12%以上JIS適合品)は3,802円で357円増、歯科用金銀パラジウム合金ろう(金15%以上JIS適合品)は5,435円で340円増となっている。
歯科鋳造用銀合金第1種(銀60%以上インジウム5%未満JIS適合品)は207円、歯科鋳造用銀合金第2種(銀60%以上インジウム5%以上JIS適合品)は232円でそれぞれ20円増、歯科用銀ろう(JIS適合品)は11円増の261円となっている。
歯科用貴金属材料の価格改定については、令和4年7月分から、変動幅にかかわらず、素材価格に応じて年4回(3カ月ごと)随時改定を行うよう見直している。これまでは診療報酬改定時以外に1月、4月、7月、10月だったが、令和6年6月からは3月、6月、9月、12月に告示価格を改正する。また、できる限り直近の価格を告示価格に反映させるため、2カ月前までの平均素材価格が随時改定に用いられている。

ページ移動

過去ログ