令和6年度概算医療費が厚生労働省から公表され、歯科は3兆4033億円で、前年より1108億円増加した。5歳ごとの年齢階級別では、95歳以上100歳未満がプラス14.1%で最も伸びた一方、70歳以上75歳未満がマイナス3.8%と、全階級で唯一の減少となっている。
令和6年度概算医療費が厚生労働省から公表され、歯科は3兆4033億円で、前年より1108億円増加した。5歳ごとの年齢階級別では、95歳以上100歳未満がプラス14.1%で最も伸びた一方、70歳以上75歳未満がマイナス3.8%と、全階級で唯一の減少となっている。
厚生労働省の報告で、全国の歯科診療所において、常勤、非常勤に関わらず歯科衛生士の従事者数が0人となる施設が最も多いことが分かった。
常勤の歯科衛生士がいない歯科診療所の割合は全国平均で39.2%。最もその割合が大きかったのは東京都で49.0%、割合が小さかったのは鳥取県の17.2%だった。
中医協総会が11月14日、都内で開催され、令和8年度診療報酬改定に向け「在宅(その4)」として歯科訪問診療に係る2回目の議論が行われた。歯科訪問診療については、8月27日に開催された第615回総会において「在宅歯科医療を取り巻く状況」や「歯科訪問診療の実施状況等」に係る課題が提示されていた。
総会では、厚生労働省から資料説明が行われた後、日本歯科医師会常務理事の大杉和司委員が論点に沿って発言した。
●在宅歯科医療推進加算の見直し
1つ目の論点「在宅歯科医療推進加算の見直し」については、本加算は在宅への移行を推進する視点から、主に歯科訪問診療1を多く行っている歯科診療所を評価するものであるが、在宅療養支援歯科診療所と内容が類似するため、施設基準の簡素化につながる趣旨であれば賛成するとした上で、かかりつけ歯科医による歯科訪問診療を推進する観点で、特に居宅等への歯科訪問診療を取り組みやすくするための評価や運用の見直しを求めた。
●少数患者への訪問診療に対する施設基準の設定
2つ目の論点「患家や同一建物に居住する少数の患者に対する歯科訪問診療の実績や歯科訪問診療の実施責任者を配置する等を要件とする施設基準の設定」では、同一建物居住者に対する多数の歯科訪問診療を適正にするための対応であることを前提に、現場では患家の少数患者に歯科訪問診療を実施する歯科診療所も存在するため、こうした歯科診療所への配慮を求めた。
●在宅療養支援歯科病院の施設基準の見直し
3つ目の論点「在宅療養支援歯科病院の届出医療機関の増加に向けた施設基準の見直し」については、歯科診療所の後方支援機能や研修・教育機能の評価に賛同するとともに、臨床研修施設における研修歯科医の受け入れ状況や当該施設における歯科訪問診療の研修・教育体制を施設基準に加味することの必要性を訴えた。
●訪問歯科衛生指導の評価見直し
4つ目の論点「訪問歯科衛生指導の評価の見直し」については、本指導が施設等における要介護者の誤嚥性肺炎等の予防に重要な役割を果たしていることを強調した上で、資料に示されたとおり、単一建物診療患者が1人の場合の指導回数が最も少ない点を踏まえた評価を求めた。また、特別な関係に当たる建物への訪問歯科衛生指導については実態に即した対応を求めた。
●在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の見直し
最後の論点「在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の見直し」については、本指導料による評価の対象を指導とし、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士によるものを対象に追加することや、ミールラウンドや食事指導および嚥下訓練などにオンラインを活用していく方向性に賛同した。
ベストスマイル・オブ・ザ・イヤー2025(主催:日本歯科医師会、協賛:株式会社ロッテ)授賞式が11月8日「いい歯の日」に先駆け11月6日に東京都内で開催され、柔道家の阿部詩選手、阿部一二三選手が「今年、最も笑顔が輝いた著名人」に選ばれた。
主催者代表挨拶で瀬古口精良副会長は、口腔の健康を通じて、健康寿命の延伸に寄与することで、国民の皆様が健康で長生きし、人生の最期の日まで自分の口でおいしく食べることができるようにすることが日歯の使命であると述べた。その上で、ベストスマイル・オブ・ザ・イヤーを契機に、口腔の健康が全身の健康につながることへの意識が喚起され、より豊かな人生を送ること、「食べる」「話す」「笑う」という日常生活の基本的機能を人生の最期まで維持することを目指すきっかけとなることを願うと話した。
日歯は令和8年度税制改正に向けて要望書を取りまとめ、日歯連盟と連携しつつ対応を進めている。
要望書では主旨として、医療経済実態調査の個人立歯科医療機関の損益差額の割合と消費者物価指数の推移を見ると、歯科医療機関の2022年度の経済力が1981年度と比べて44%程度にまで落ち込んでいる状況を説明。医業収入の伸びが期待できない中で、歯科医療機関の経営を守り、国民が求める医療提供体制を維持、拡充するためには、「事業税非課税の特別措置」及び「所得計算の特例措置」等の存続や、地域医療に貢献できるように小規模医療機関の設備投資を促し、歯科医療機関のDXを加速する実効性のある税額控除制度等の創設・拡充を求めている。
具体的には重点要望項目として、消費税関係では、社会保険診療に係る消費税は引き続き非課税扱いとし、控除対象外消費税を適切に検証の上、必要な財源を確保し、診療報酬改定により過不足なく補填を行われるよう求めている。
事業税関係では、社会保険診療報酬に対する事業税非課税の特例措置の存続、また医療法人の事業税については、特別法人としての事業税率による課税措置の存続を要望。
地域医療支援関係では、社会保険診療報酬の所得計算の特例措置を本来の制度趣旨に基づき存続することを要望。また、賃上げ促進税制の上乗せ要件(1)(教育訓練費)を充実させると共に税額控除上限の引き上げを求めている。
設備投資支援関係では、小規模医療機関の設備投資や更新を支援するための措置として、社会保険診療収入5千万円以下の小規模医療機関が160万円以上の医療用機器または30万円以上の医療情報システム用機器を取得した際に即時償却、または10%の税額控除の選択適用の制度の創設を求めている。
さらに公益法人等に係る税制措置として、自治体等の健診等委託事業について適格請求書(インボイス)を不要とするよう求めている。
【ジュネーブ共同】水俣病の原因である水銀を規制する「水銀に関する水俣条約」のスイスでの第6回締約国会議は7日、銀歯として虫歯治療に使う「歯科用アマルガム」の製造や輸出入を2034年末までに禁止することで合意し、閉幕した。既に段階的削減の対象だったが、規制を強化した。水銀の排出を減らす一層の努力を国際社会に求めた。
欧州連合(EU)は、水銀を含んでいるアマルガムの使用を法律で禁止。カナダや米国などで安価な治療法として使われている。日本では16年に保険適用から除外され、現在は製造されていない。環境省やNPO法人「日本歯科保存学会」は、アマルガムを使っている人でも虫歯の再発などがなければ除去する必要はないとしている。
会議はスイス西部ジュネーブで3日に開幕。既に禁止が決まっている水銀を含む化粧品についても、違法な取引を防ぐ国際協力で合意した。日本は、水銀に汚染された廃棄物の管理を監視する方法について決議案を出すなど議論を主導した。期間中の関連イベントには熊本県立水俣高(水俣市)の生徒らが登壇。水俣病の原因企業チッソを設立する契機となった曽木発電所の遺構(鹿児島県伊佐市)の見学といった学習内容を発表した。
条約事務局によると、年間約1500トンの水銀や水銀の化合物が工業生産の過程で使用される。小規模な金鉱業では年間2千トン以上の水銀が排出されている。
水俣条約は17年8月に発効。現在は米国や中国を含む153カ国・地域が加盟している。
条約名の由来となった水俣病は熊本県水俣湾周辺で発生し、1956年に公式確認。65年には新潟県の阿賀野川流域で起きた新潟水俣病も公式に確認された。ブラジル北部のアマゾン地域でも同様の症状が報告されている。
日歯は10月23日、定例記者会見を歯科医師会館で開いた。
挨拶で高橋英登会長は、高市早苗新総理について、緊急的な補正予算で医療機関を援助することや、予防医療として国民皆歯科健診事業を拡充するといった発言から、歯科界を理解いただいており、これからも連携を深めていきたいと話した。
また、病院に比べて歯科診療所は経済的基盤が脆弱であるとし、異常な物価高騰の中でも高額な医療機器を導入するなどして医療の高度化に対応している厳しい現状を説明した。その一方で、口腔内環境が全身疾患に大きく影響すること、8020達成率が61.5%となり、歯科医療が全身の健康に寄与することが国民に認知されている状況で、高度な歯科医療の提供に歯科界が奮闘していることをもっと周知したい考えを示した。
さらに、48兆円台に達した総医療費をより効率的に運用すべく、持続性のある皆保険制度の堅持のために日歯ができることを精査し、日本を救うためにもこの苦境を乗り越え、前に進んでいくと述べた。
会見ではこの他、大杉和司常務理事が、会員を対象に実施した令和7年歯科診療所の緊急経営調査について説明。中医協をはじめとした政府審議会の今後の議論に備えるため、歯科診療所における経営状況を把握し、診療報酬改定への政策提言等を行うための基礎資料とすることを目的に、今年8月から9月にかけて調査を実施し、歯科診療所開設者約550名から回答を得たことを報告した。
詳報は、日歯広報第1864号(令和7年11月15日付)に掲載予定。
令和7年秋の叙勲受章者がこのほど発表され、佐藤保・元日歯副会長が旭日中綬章を受章したのをはじめ、旭日章を27名、瑞宝章を27名の日歯会員が受章した。
受章者一覧は、日歯広報第1864号(11/15付)に掲載。