「舌がん」の早期発見・治療につなげようと、山形大医学部(山形市)は舌と腫瘍などの感触を再現した啓発キャラクターグッズ「ベロたん」を開発した。がん特有の硬さを確認でき、異変の発見につなげる。一般への普及を目指し、カプセルトイでの販売を計画しており、クラウドファンディングで資金を募っている。(山形支局 中戸穣)
舌がんは舌の側面にできやすく、国内で年間5000~6000人が新たにかかるとされる。同学部の石川恵生・主任教授によると、早期に発見し、治療を行えば5年生存率は9割を超えるが、初期は痛みがなく、腫瘍の大きさも直径2センチ以下。患者の4割はステージ3~4になるまで気付かず、ステージ4の5年生存率は5割ほどだ。
患者の治療にあたってきた石川主任教授は、「あと1年早ければ治療も簡単だったのに」と何度も感じたという。
早期発見のために重要なのが触診だが、医療者向けの舌の模型は3万円台と高価で一般販売もされていない。そこで2022年、工学部が持つ3Dゲルプリンターの技術を使って試作を開始。23年からは業者に依頼してシリコーン素材を取り入れた。100回以上試作を繰り返し、25年6月に完成した。
名称は舌を意味する「べろ」と英訳「Tongue(タン)」を合わせた。手のひらサイズで、本物の舌のように柔らかい。腫れのない「健常」、「口内炎」、「良性腫瘍」2種類、「がん(ステージ1)」の計5種類あり、「健常」以外の4種類では側面に腫瘍や腫れなどを模した突起をつけ、大きさや硬さ、手触りを確認できる。それぞれの状態を表す表情も描いた。
広く普及させるため、カプセルトイのメーカーとも協議中だ。現行モデルは職人の手作りによる特注品で1個2万円台と高額なため、安価に大量生産できる型枠製作に向けたクラウドファンディングを行っている。目標額は650万円で、11日現在、124万5000円が集まった。1万円以上の寄付者には、返礼品としてベロたんを贈呈する。