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流涎(りゅうぜん)症

成人の一日に出る唾液の平均量は1~1.5リットルといわれます。
そして、通常よりお口の中の唾液が多くみられる状態を
唾液分泌過多症・流涎(りゅうぜん)症といいます。
ただし、赤ちゃんは唾液が多くても基本的には正常ですので、
小児から成人で唾液分泌量が多い方が流涎症に該当します。

お口の中に唾液が多くみられる状態は、
唾液がたくさん出ることと、たくさん溜まることが考えられます。

○唾液がたくさん出る原因
・口腔・咽頭・食道等の疾患
・脳神経系疾患
・薬物中毒
・精神疾患
・薬剤によるもの
・ストレスやホルモンの関係 他

○唾液がたくさん溜まる原因
・神経障害
・薬剤によるもの
・嚥下機能の低下 他

唾液にはさまざまな良い作用もありますが、
流涎症の場合は、合併症に気を付けることも大切になってきます。
唾液が多いと誤嚥(食事や唾液が肺へ入ること)を起こしやすくなります。
唾液と一緒にお口の中の細菌が肺に入って、肺炎を起こすことがあります。
合併症を予防するためには、口腔ケアによるお口の細菌減少と、
噛んだり飲み込んだりするための口腔機能維持向上のための
トレーニングなどが大切になります。

また、日頃から体力や免疫力が落ちないよう生活習慣や食生活に
気を付けるようにしましょう。
気になる場合は専門医を受診することをお勧めします。

▼参考:真性唾液過多症の1例
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h0noujs0vt3d33ux9epTW
※クリックするとPDFが開きます

間葉系幹細胞の投与で歯周病の進行を抑制

愛知学院大学歯学部の本田雅規教授、日本大学歯学部の井口慎也非常勤医員らの研究グループは、間葉系幹細胞が歯周病の進行を抑えることをマウスを使った実験で明らかにした。本田教授らは歯肉溝に糸を巻いて歯周病に罹患させたマウスを用いて実験。
 糸を巻いた同日に、糸を巻いた歯の周囲の歯肉に注射を針で間葉系幹細胞を投与すると、歯槽骨の破壊が有意に抑えられた。間葉系幹細胞はマウスの大腿骨から採取し数日間培養したものを、歯の近心の歯肉だけに投与。近心側の歯槽骨破壊は抑えられたが、遠心側の歯槽骨については投与しない場合と同様に破壊されたという。
 従来、炎症部位への細胞の投与は細胞が死滅するため禁忌とされていた。しかし、今回の実験により、炎症部位に投与した細胞でも数日間にわたり生存できることが判明。今回は骨髄から採取した間葉系幹細胞を使用したが、歯髄や歯根膜など他の組織の間葉系幹細胞でも今後実験していくとのこと。幹細胞を使った再生医療の確立にまた一歩近づいたと言えよう。

世界初、マイクロPHセンサによるう蝕の定量的検査技術の開発に成功。

東京医科歯科大学生体材料工学研究所の宮原裕二教授と田畑美幸テニュアトラック教授の研究グループは、酸化イリジウムを材料とするマイクロPHセンサを製作し、世界初となる歯のPHマッピングによるう蝕の定量的検査技術を開発した。研究グループは、歯科用深針に実装することを目的に、小型化・加工性に優れたワイヤを用い、室温での理論値に近いPH感度を有するセンサを作製。
 このセンサを用いて抜去う蝕歯の表層PH測定を行い、健康な歯根、非進行性う蝕、進行性う蝕はそれぞれ6・85、6・07、5・30のPH値を有していることもわかった。直径300μmの同センサは、凹凸や欠損といった歯表層の形態に左右されず、直接PH測定を行うことが可能であるだけでなく、染色による目視診断やX線による画像診断では識別できない歯間のう蝕進行性も評価することができる。繰り返しの測定や、使用後のオートクレーブ滅菌も可能だという。

歯科関連の国家試験合格者が発表。歯科医師は3年ぶりに2000人超え。

第111回歯科医師国家試験の合格者が発表され、出願者3721人、受験者3159人で合格者は2039人という結果になった。合格者は3年ぶりに二千人を超えたが、合格率は前年に比べ0.5ポイント減少の64.5%。
 新卒者の合格率は77.9%、既卒率は44.0%。規定年限で合格する学生の比率が急激に下がっているという現状は前回と変わらず。留年学生を除いた最終年限での出願者数に対する合格者の割合をみると、一部の大学で20%台となるなど厳しい現状となっている。
 また、平成29年度歯科技工士国家試験の合格発表も行われ、受験者952人に対し、合格者は902人。合格者が初めて1000人を割った昨年度よりさらに85人も減少した。全国の歯科技工士学校の入学者も激減しており、若者の歯科技工士離れが進んでいることは間違いない。
 歯科衛生士国家試験では、7374人が受験。合格者は7087人と前回に比べ350人増加した。どの職種も歯科医療を支える重要な役割を背負っている。将来の歯科業界を担う人材が育つことを期待したい。

歯の健康ホラー風に啓発 県歯科医師会が動画配信 「批判覚悟」若年層ターゲット

県歯科医師会(寺尾隆治会長)は19日、会の事業概要などをホラー風に紹介するプロモーションムービーを発表した。寺尾会長は「インパクトのある演出で県民を引きつけ、歯を大切にすることが、健康につながることを知ってほしい」と風変わりな動画の制作意図を語った。

 プロモーションビデオは3本を制作。県歯科医師会の事業内容の説明や歯の健康促進の啓発などいずれも1分30秒から3分の動画で紹介している。映像監督には、佐賀市のプロモーションムービー「WRSB(ワラスボ)」を手がけた有馬研吾氏を起用した。

 3本の動画とも、地域アイドルユニット「ピンキースカイ」のだーゆんさんが歯の妖精と称する「佐歯子(さばこ)」役となり、画面の隅に現れながら学校歯科健診の促進や歯のクリーニングの重要性を呼びかけている。また、県歯科医師会の役員もゾンビ役として共演している。

 県歯科医師会の広報担当役員は「会員の批判を覚悟の上で制作した」と語り、「子どもや若い世代に歯の健康の大切さ説くには、まず興味をもってもらうプロモーションムービーが必要だ」と強調した。

 動画は県歯科医師会のホームページのほか、YouTubeなどで公開中。

【6月13日放送】ガッテン! せきが止まらない!歯が溶ける!犯人はまさかの“胃”!?

日本人の体に異変!?“新型の胸やけ”とは?
 テーマは「胃酸」。胃酸によって起きる胸やけなど逆流性食道炎の患者が急増していて40年で9倍になっている。

 「胸やけはどのように起きる?」というクイズが出された。人工の胃液に肉を入れるとどんどん分解していく。食べ物に反応して胃液(胃酸)は出てくる。胃酸が噴門を抜けて上がってしまうことを胸やけという。被験者にバリウムを飲んでもらい、横になってげっぷをした時の映像。げっぷの瞬間に噴門から逆流していた。胃は粘膜があり胃酸でダメージを受けないが食道は傷ついてしまうことがありこれが逆流性食道炎。「負の胃酸」の影響は胸やけ以外にもある。

意外に気づかない胃酸のトラブル
 田路カズヤさんは4年前、一度始まると止まらない咳の症状があった。原因は胃酸の逆流と診断された。田路さんは「胸やけなどは一切感じなかった」と話した。小湊俊幸さんは6年前、胃酸が原因で上側の前歯を全て失ってしまった。食事中にかみ合わせが悪くなったことに気づき、歯医者で歯が溶けてボロボロになっていると診断され入れ歯にした。名古屋大学の曾根三千彦教授は難治性の中耳炎の患者の鼓膜の中の液体を分析すると、胃液の代表的な成分「ペプシノーゲン」がたまっていた。胃酸の逆流でまれに耳や口の症状が出ると考えられている。胸やけだけでなく胃酸が起こす様々な症状が注目されている。胃酸の逆流が起きても気づかない場合もある。安全な濃度の胃液を人の食道に少量入れる検査実験の映像。実験した男性は「喉に何かつまる感じがした」と話したが、別の男性は「何も感じなかった」と話した。食道の感覚には個人差があり胸やけがないままほかの症状が出る人も。胃酸が引き起こす症状は吐き気、咳、喉の違和感など様々である。

胃酸の逆流 こうして“被害”が広がる
 ディレクターが治療で抜いた親知らずを人工の胃液に3時間つける実験をすると歯はボロボロになった。重度の逆流が続くと歯がダメージを受ける場合も。島根大学医学部の角昇平医師が最新の実験を行った。縦軸8チャンネルpHセンサーカテーテルを使用し食後に産生される胃酸の分布を調べる。センサーを鼻から胃に入れて食事をすると食べ物の上に胃酸の層ができているのがわかった。胃酸を出す細胞は胃の上のほうにだけ分布し、上から胃酸が出るので食後すぐ逆流が起きると大きな被害が出る。

日本人の胃は今!?胃の研究200年
 胃の研究に貢献した“胃人”たちを紹介。アレクシス・サンマルタンさんは事故で胃と体の外がつながってしまい、医師が穴から食べ物を入れ食べ物の種類やそのときの気分で胃液の出方が変わるとわかった。バリー・ジェームズ・マーシャルさんは自らピロリ菌を飲み胃炎が起きたことを確認した。マーシャルさんと共同研究者のウォレンさんは2005年ノーベル医学・生理学賞を受賞。

胃酸が逆流しやすい!?現代の日本人
 岡山県の川崎医科大学付属病院の春間賢特任教授が胃酸の逆流しやすくなった理由を教えてくれた。春間先生が大切にしているのが胃酸を出す細胞の標本。胃酸を分泌する細胞の数が40年間で増えていることに気がついた。現代の日本人は40年前と比べると1.35倍になり胃酸を出す力も上がっているという。多くの調査から胃酸逆流の背景に胃酸の増加があることがわかってきた。細胞が増えた理由は戦後、肉を食べる量が増えたことで消化のために多くの胃液が必要になったため。日本人の1日の胃液の量は推定2~3リットル。ピロリ菌で荒れた胃は胃酸が少ない。かつての日本人はピロリ菌感染者が多く胃酸が少なかった。現代の日本人はピロリ菌感染者が少なく胃酸が多い。ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんのリスクを大きく下げるので除去が勧められている。逆流性食道炎の人の割合はこの40年で9倍に増えている。春間さんは気づかない酸が悪さをする病気がまだまだ隠れている可能性があると話した。また肥満で胃が圧迫され胃酸が逆流しやすくなる。噴門はみぞおちにある。「胃酸逆流危険チェック」。肥満、猫背、大食い、ストレス、お酒、食べてすぐ横になるにひとつでも当てはまる人はちょっと注意。猫背だと胃に圧力がかかりやすいため。バリウムを飲んで横になると逆流が起きる。

こんなにある胃腸薬の種類
 市販の胃腸薬は400種類ぐらいある。「胃酸を抑える薬」と「総合薬」に分かれる。総合薬は胃の粘膜を保護したり痛みを和らげたり胃酸を出させるものなど。一時的な応急処置として使用し長期にわたって症状が取れない場合やひどい症状が出た場合は医療機関で検査を。

こうして防げ!胃酸のトラブル
 生活の中で胃酸を抑える一番の対策は食事内容。肉は大切なエネルギー源で特に高齢者には大事だが、食べ過ぎずバランスのよい食事を心がけが胃酸を抑える第一歩。「腹八分目」が大事で「食べてすぐ横になると牛になる」は逆流しやすくなるために言われていた。食生活を変えた効果は1か月程度で表れ始めると言われている。食べ過ぎた時に逆流を防ぐポイントは「枕を高くする」「食後30分は横にならない」。日本消化器病学会のガイドブックには上半身を寝た上げ方が載っている。枕の下に畳んだ毛布を敷いて角度を作ってもOK。オススメは10度以上の傾斜で厚手の毛布3~4枚重ねくらいが目安。春間先生は胃酸で困る状況を子どもたちに引き継がないようにできれば、日本人は生活習慣を見直す時期にきていると話した。

 胃酸の逆流に気づくチェック方。胸やけ、胃もたれ、頻繁に喉や口にすっぱいものがこみ上げる、げっぷが多くなる症状がよくある。食後1~2時間によく症状が出る人は胃酸の逆流の疑いあり。腹八分目などの食生活改善が必要。

人工甘味料は血糖値に影響しない可能性

人工甘味料は砂糖の代替として飲料や菓子などの食品に広く用いられているが、人工甘味料を摂取しても血糖値には影響を及ぼさないことが、29件のランダム化比較試験(RCT)を対象に行ったメタ解析で示された。ただし、研究を行った米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校食品栄養科学部のAlexander Nichol氏は「この結果から、血糖値が気になる場合でも人工甘味料の摂取は安全だと言えるが、人工甘味料入りの飲料や食品を好きなだけ食べてよいという意味ではない」と強調している。研究の詳細は「European Journal of Clinical Nutrition」5月15日オンライン版に掲載された。

 砂糖の替わりに人工甘味料(非栄養甘味料とも呼ばれる)を用いると、甘みを減らすことなく食品や飲料のカロリーを抑えられることから、人工甘味料は肥満や心臓病、特に糖尿病のリスクを低減させると期待されている。米国では、その使用量は急激に増えており、1999~2000年から2009~2012年にかけて子どもでは約3倍に、成人でも約1.5倍に増加した。現在では、子どもの4人に1人、成人の5人に2人が人工甘味料を習慣的に摂取しているとの推計もある。

 米国では8種類の人工甘味料が認可されており、これらには今回のRCTで検討対象とされたサッカリンとアスパルテーム、ステビオール配糖体、スクラロースが含まれる。また、「無糖(sugar-free)」と表示された食品の一部には、糖アルコールと呼ばれる甘味料(ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イソマルトース、水素化デンプン加水分解物)が含まれているという。

 今回の研究で、Nichol氏らは、対象者が人工甘味料を他の食品やカロリーを含む飲料なしで単独で摂取したRCT論文を抽出。計741人が参加した29件のRCTを対象にメタ解析を実施し、4種類の人工甘味料(アスパルテーム、サッカリン、ステビオール配糖体、スクラロース)が血糖値に及ぼす影響について調べた。対象者のほとんどは健康な人で、2型糖尿病患者は69人、健康状態が不明だった人は150人だった。

 その結果、人工甘味料を摂取しても血糖値にはベースライン時から上昇はみられず、人工甘味料は血糖値には影響しないことが分かった。また、4種類の人工甘味料の間で血糖値への影響に差はみられなかった。

 論文共著者の一人で同校食品栄養科学部のMaxwell Holle氏は「過去の研究の多くでは、他の食品と一緒に摂取した場合の人工甘味料の影響のみが検討されていた。今回の結果は、人工甘味料を単独で摂取した場合を検討しており、信頼性が高いと言えるだろう」と述べている。

 専門家の一人で米コロンビア大学のMaudene Nelson氏は、「無糖」表示については誤解が多いと指摘する。「たとえ砂糖が含まれていなくても、食品や飲料そのものには炭水化物や脂質、たんぱく質が含まれており、摂取すれば血糖値に影響する。また、カロリーもあるので体重にも影響を及ぼすことに気を配る必要がある」と話している。また、今回の解析には含まれなかった糖アルコールについて、「(糖アルコールを)摂取し過ぎると腹部膨満感や下痢の原因になることにも注意する必要がある」と同氏は付け加えている。

歯と口の健康アラカルト:高齢者のむし歯

高齢者に多いむし歯を「根面(こんめん)う蝕(しょく)」(歯の根っこの面にできるむし歯)といいます。歯は歯茎より上の歯冠(エナメル質が覆う)と歯茎の中に埋まっている歯根でできています。加齢により歯茎が痩せ、高齢者になると若い時は歯茎に埋もれている歯根が出てきます。歯根は歯冠の7分の1の硬さにすぎません。つまり歯根の表面はとても軟らかいため、むし歯になりやすいのです。その歯根の表面にできやすいむし歯が根面う蝕です。

 根面う蝕は歯の中にある神経に近い位置から始まり、軟らかいため、進行が速く神経に達しやすくなります。神経がむし歯のばい菌に侵されると、ひどい痛みが出るだけでなく、むし歯が急速に進み治療が難しくなります。また、歯根の表面全周に進行しやすいことから、歯が折れて根だけになり、抜かないといけなくなるケースも少なくありません。

 若い時に比べて歯茎が痩せ、歯と歯の隙間(すきま)が広くなり、汚れがたまりやすくなることもその原因の一つです。高齢者になると唾液の量が減る傾向にあります。唾液はむし歯予防には重要な役割をします。食べかすを洗い流し、また、むし歯になりかけた表面を再石灰化させ、むし歯になりにくくする力があるので、唾液の量、質は大変重要なポイントになります。唾液の減少は加齢によるものですが、薬の副作用や全身的な病気でも起こります。

 根面う蝕はどうしたら予防できるのでしょう。誤った歯磨きにより歯周病が進み、歯茎が下がります。圧力がかかり過ぎた歯磨きも歯茎を傷つけ、押し下げることとなります。適当な硬さと大きさの歯ブラシや歯間ブラシを使い、お口の中を常に清潔に保ってください。

 フッ素入りの歯磨き剤やうがい薬の使用も効果が期待できます。唾液の量を増やすマッサージや運動もあります。不規則な生活や過労、過度のストレスにも気をつけてください。治療後の歯でも新たに根面う蝕になることが多いので、歯科医院での定期健診や各自に合ったお口の清掃指導を受けることをおすすめいたします。

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